
スルフォラファンでフラタキシンを増やす研究
ブロッコリーに含まれるスルフォラファンが、フリードライヒ運動失調症に関わるタンパク質「フラタキシン」を増やし、傷つきやすい神経細胞を保護する可能性が示されました。研究を進めたのは、オーストラリアのスウィンバーン工科大学のチームです。
フリードライヒ運動失調症は、神経系に徐々に損傷が及ぶ遺伝性疾患です。スルフォラファンは細胞ストレスや炎症に関わる複数の過程にも作用する可能性があり、細胞を保護する効果が研究されています。
今回の知見は前臨床研究に基づきます。この研究では、人工多能性幹細胞から作った感覚神経細胞を用いて検証しました。患者にも同じ効果が得られるか、日常生活で症状が改善するかは、臨床試験で確かめる必要があります。
神経や運動機能に影響する疾患
この病気では、脳や脊髄の神経細胞が徐々に損なわれ、運動の協調、歩行、発話が難しくなることがあります。原因の一つは、フラタキシンの産生不足です。
フラタキシンは細胞の正常な働きを支えるタンパク質で、エネルギー需要の大きい神経細胞で特に重要です。研究では、スルフォラファンがフラタキシンの量を増やし、神経細胞の損傷を抑える可能性が報告されました。
スウィンバーン工科大学のフェイス・クワ准教授は、子どもが患者の大きな割合を占める一方、小児向けに承認された治療はないと述べています。同氏は、臨床試験の資金を得て、患者で効果を検証することを目指しています。
既存薬とは異なる作用の候補
米国でフリードライヒ運動失調症の治療に承認されているオマベロキソロン(商品名スカイクラリス)は、16歳以上の成人・青少年を対象とする薬です。米食品医薬品局の添付文書では、1日1回、経口で150ミリグラムを服用する用法が定められています。
オマベロキソロンは、細胞の防御反応に関わるNrf2経路を活性化する薬です。この経路を通じて炎症反応を抑え、ミトコンドリアと神経の機能を改善すると考えられています。
スルフォラファンの研究では、フラタキシンの量を増やすことと、神経細胞を損傷から守ることが主な検討対象です。
臨床試験に向けた課題
スルフォラファンには、子どもと成人での安全性に関する実績があり、精製された生物活性型も市販されています。ただし、これらの情報だけでは、フリードライヒ運動失調症に対する有効性は確立していません。研究チームは患者を対象とした臨床試験の実施に向け、資金の確保を目指しています。
クワ准教授は、患者数が少なく病気の認知度も限られることが、研究資金を集める難しさにつながっていると述べています。チームが計画する臨床試験では、細胞で確認された作用が患者にも現れるかを検証します。
臨床試験で有効性が確認されれば、患者への治療として広げる道が開ける可能性があります。






