
ガソリンスタンドにも並ぶkratom製品
米国では、植物由来のkratom(クラトム)や、その成分を濃縮した7-OHを含む製品が、ガソリンスタンドやたばこ店などで販売されています。グミ、錠剤、飲料などの形があり、依存や過量摂取のリスク、規制のあり方が議論されています。
kratomは東南アジア原産の植物の葉に由来し、主なアルカロイドであるミトラギニンが脳のオピオイド受容体に作用します。米食品医薬品局(FDA)によると、7-OHも葉に自然に含まれますが、天然の葉に含まれるアルカロイド全体の2%未満です。
Voxの取材に応じた薬物政策ジャーナリストのMattha Busby氏は、7-OH製品はグミ、ショット、カプセルなどの形で店頭に出回り、kratom製品と同様に入手しやすいと説明しました。氏は濃縮された7-OH錠剤は強いと述べ、kratomと7-OHの両方で依存する人がいるとの見方を示しています。
7-OHの濃縮製品と植物由来kratom
FDAの評価では、7-OHはミトラギニンよりオピオイド受容体への効力が強く、動物実験では呼吸抑制や身体依存、離脱症状が確認されています。これらはモルヒネなど従来のオピオイドにもみられる作用です。
FDAは、近年流通する高濃度製品について、ミトラギニン分離物やkratom抽出物を化学的に変換し、7-OHを増やしている可能性を挙げています。天然の葉に含まれる量がごく少ないため、葉から直接取り出す方法は経済的に成り立ちにくいと評価しています。
米司法省が2026年8月に緊急指定を発表した対象は、7-OHそのものではなく、関連する3つの化合物、MGPI、MGM-15、MGM-16です。司法省は、意図的に製造・濃縮されたオピオイド製品を対象とし、伝統的な植物由来kratomは対象外だと説明しました。
中毒相談の増加と複数物質の使用
米疾病対策センター(CDC)の研究チームが全米の中毒相談窓口の記録を調べたところ、kratom関連の相談は2015年の258件から2025年の3,434件に増えました。11年間の合計は14,449件で、2025年は調査期間中で最多でした。
記録された相談の38%は、kratomと別の物質を同時に摂取したケースでした。複数物質を摂取したケースは、単独摂取のケースより入院割合が高く、年ごとの比較で44~56%に対し24~29%でした。
複数物質の相談では、アルコール22%、オピオイド16%、ベンゾジアゼピン15%、抗うつ薬14%などが含まれていました。中毒相談件数は使用者全体の人数を表すものではなく、相談記録では複数物質の摂取がより重い結果と結びついていました。
離脱治療の根拠は限られる
kratomの使用をやめた際には、吐き気、悪寒、不眠、身体の痛み、不安などの離脱症状が報告されています。kratom離脱の治療には、現在、合意された方法や公表済みの診療指針がありません。
ブプレノルフィンやブプレノルフィン・ナロキソンの使用は、kratom離脱の症例報告で取り上げられています。これらの薬を用いたkratom離脱治療を検証する臨床試験はなく、報告された症例だけでは治療効果や安全性を比較評価できません。
薬学分野の文献レビューは、メサドンなどのオピオイド薬をkratom離脱の第一選択として一律に使うことには慎重さが必要だとする専門家の見解も紹介しています。特に、オピオイド使用障害の既往がない人では、薬の使用が耐性や身体依存につながる可能性があるため、症例ごとの判断が提案されています。








