
REDMODが診断前のCT画像から兆候を検出
膵臓のCT画像を解析するAI「REDMOD」は、膵管腺がんの診断より平均475日前に、通常の画像読影では見つからなかった兆候を検出しました。独立した検証セットでの検出感度は73.0%で、放射線科医の38.9%を上回りました。臨床で使うには、高リスクの人を対象とした前向き検証が必要です。
膵管腺がんは、膵がんの中で最も一般的な種類です。研究では、診断前のCT画像に、目で見える腫瘍がない段階でも、膵臓の組織に微細な画像上の特徴が現れている可能性を調べました。
REDMODは膵臓を自動で特定して輪郭を描き、画像の細かな濃淡や質感のパターンを数値化する「ラジオミクス」を使います。研究チームは40種類の特徴量を用い、複数の機械学習モデルを組み合わせて、がんに関連する兆候を判別する仕組みを構築しました。
1,000人超の画像を使った検証
研究チームは、複数施設で撮影された診断前の画像を含むデータでREDMODを開発し、独立した493人分のデータで性能を評価しました。評価セットには、診断前の膵管腺がん患者63人と、がんのない人430人が含まれます。この構成は、早期発見の場面でがんのない人が多い状況を想定しています。
診断前画像の撮影時期は、診断の3〜12カ月前が87人、12〜24カ月前が76人、24カ月より前が56人でした。24カ月を超えて前に撮影された画像では、REDMODの検出感度は68.0%で、放射線科医の23.0%を上回りました。診断前CTから兆候を捉える平均期間は475日でした。
がんのない人を対象にした別のデータでは、REDMODは複数施設の539人分の画像の81.3%を「がんなし」と判定しました。米国国立衛生研究所の公開データ80人分では、その割合は87.5%でした。同じ患者について数カ月間隔で撮影した画像を比べた検証では、判定の一致率は90〜92%でした。
高リスク者の監視と研究段階のAI
膵がんの早期発見に使う標準的な検査は、平均的なリスクの人には推奨されていません。米国国立がん研究所(NCI)は、家族歴などからリスクが高い人にスクリーニングを勧め、CT、内視鏡的超音波、MRIまたはMRCPを検査方法として挙げています。画像検査は、症状が出る前の監視にも使われます。
欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のガイドラインは、高リスク者が専門施設で監視を受け、年1回の内視鏡的超音波または膵臓MRIを選ぶ方法を推奨しています。監視は通常50歳、または家族内で最も若く発症した人の年齢より10年早い時期に始めるとされています。この推奨は高リスク者を対象にしています。REDMODの検証では、既に撮影されたCT画像をAIで再解析し、診断前の兆候を探しました。
CTは膵臓の画像検査に使われますが、膵管腺がんの初期には、通常の画像で明確な腫瘍が見えない場合があります。REDMODは、画像で捉えにくい組織の変化を検出対象にしています。一方、今回の研究では、REDMODを使った監視が患者の診断や治療にどう結びつくかは検証していません。
臨床導入へ向けた検証課題
今回の研究に含まれた患者の民族的背景は十分に多様ではなく、異なる集団でも同様の性能が得られるかは今後の検証課題です。研究チームは、高リスク者を追跡する前向き研究で性能を調べる必要があるとしています。
研究では過去に撮影されたCT画像を用い、診断前の画像からAIが兆候を捉えられるかを評価しました。結果はAIによる画像解析が早期発見に役立つ可能性を示していますが、実際の診療で有効かどうかは、今後検証する必要があります。









