
米国の成人18万3,000人超を対象とした11年分の調査では、SNSの利用時間が長い人ほど、抑うつを自己申告する傾向が一貫して見られました。機械学習モデルでは、1日150分を超えるあたりからSNS利用が抑うつの予測に寄与する度合いが高まりました。ただし、この調査は利用が抑うつを引き起こすと証明したものではありません。
11年分の調査で見られた関連
調査対象は18〜70歳の米国成人で、2014〜2024年に毎年実施されたアンケートの回答を分析しました。同じ人を追跡するのではなく、各年に別の回答者を集める反復横断調査です。
抑うつは、31項目の健康状態から該当するものを選ぶ自己申告で測定されました。SNSやインターネット閲覧、テレビ、ゲーム、メール、ニュースに使う時間も、平日と週末の典型的な1日について回答者自身が見積もりました。
抑うつを申告した回答者の割合は、2014年の15.1%から2024年の22.0%へ上昇しました。人口統計上の要因を調整した分析では、SNSの利用時間が長いほど抑うつの申告との関連が強く、ゲーム、インターネット閲覧、テレビ、メールにも同様の正の関連が見られました。
予測モデルでSNS利用の位置づけが上昇
研究チームは、所得や年齢などの属性と各種メディアの利用時間を組み合わせ、抑うつの自己申告を予測するモデルを年ごとに作りました。予測への影響は所得が最も大きく、SNS利用がその次でした。
SNS利用の重要度は調査期間中に上がり、2019〜2024年には15項目中、上位4項目に入りました。これはモデルの予測における位置づけであり、SNS利用を減らせば抑うつが改善することを直接示す結果ではありません。
モデル上では、1日150分未満の利用は予測への影響がほぼ中立で、それを超えると利用時間が増えるにつれて、抑うつの予測を押し上げる傾向が現れました。研究チームはこの150分を今後検証すべき仮説として扱っており、安全な利用時間の基準とはしていません。
観察調査だけでは因果関係を特定できない
毎年異なる回答者を調べる設計では、SNS利用が先に増えて抑うつにつながったのか、抑うつを抱える人が気晴らしやつながりを求めてSNSを使う時間を延ばしたのかを切り分けられません。利用と気分が相互に影響する可能性もあります。
成人を扱った114研究のレビューでは、若年成人が研究対象の中心でした。レビュー対象の78.6%は、過度な利用や受動的な利用と、抑うつ、不安、気分、孤独との関連を報告しています。
一方、レビュー対象の33.0%は、目的を持った肯定的な利用と、知覚された社会的支援や楽しさなどの改善との関連も報告しました。成人の研究では、利用時間だけでなく使い方や利用時の経験も、関連を考える材料になります。
利用を減らす介入研究が示した変化
成人154人を含む無作為化比較試験では、参加者の平均年齢は29.6歳でした。参加者を1週間SNSを休む群と通常どおり使う群に分けました。対象となったサービスはFacebook、Instagram、Twitter、TikTokです。
1週間後、休止群では通常利用群より、抑うつ尺度の得点が平均2.2点低く、差の95%信頼区間はマイナス3.3〜マイナス1.1点でした。不安とウェルビーイングの尺度にも、休止群に有利な群間差が報告されました。
別のメタ分析は、利用制限または利用休止を扱った無作為化比較試験10件、計1,491人を統合し、抑うつ症状の有意な低下を報告しました。効果量はg=0.25で、研究間のばらつきも見られ、長期的な効果を評価する研究が必要とされています。
無作為割り付けを行う介入試験は、観察調査よりも利用を減らすことの効果を調べやすい設計です。











