
OccupySaaSは、AIを使ってAuth0やSalesforceなどのSaaSとの互換性を目指すオープンソースプロジェクトです。認証基盤「ZeroAuthy」と顧客管理ソフト「SalesCompel」を公開し、既存のAPIやSDKとの互換性を目指しています。ただし、両プロジェクトは初期段階で、SalesCompelはSalesforceとの互換認証を取得していません。
公開仕様をもとに既存サービスとの互換性を目指す
クリーンルーム再実装とは、既存ソフトのコードを流用せず、公開された仕様や動作を手がかりに独立して機能を作る手法です。OccupySaaSは、公開API文書やオープン標準、公開SDKの動作を仕様としてまとめ、AIエージェントがその仕様をもとに実装する進め方を掲げています。
OccupySaaSは、仕様を書く担当と実装する担当を分け、旧勤務先の機密情報や流出コード、逆コンパイルしたバイナリ、画面素材を使わない方針です。各リポジトリにクリーンルーム方針を置き、参照元の記録を残す仕組みも設けています。
互換性の確認には、ベンダーが公開するクライアントSDKを自作サーバーに接続する試験環境を使います。既存のSDKをコード変更なしで動かすことを目指していますが、互換性は機能ごとに開発中です。
ZeroAuthyは認証APIとログイン機能を実装
ZeroAuthyはAuth0の認証APIとの互換性を目指す、セルフホスト型の認証サーバーです。OpenID Connect(OIDC)対応の認証フローやログイン画面を備え、Auth0向けSDKを接続して使う設計です。
公開されている初期版には、認証コードとPKCE、更新トークンのローテーション、クライアント資格情報による認証、多要素認証、メールやSMSを使ったパスワードレス認証などが含まれます。SQLite、PostgreSQL、MySQLなどの保存先にも対応し、プロジェクトによると、複数のAuth0 SDKで動作を確認しています。
プロジェクトによると、ZeroAuthyは2026年10月にOpenID Foundationの認証を受けました。現行版は「1.0 early preview」とされ、WebAuthnやパスキー、SAML、企業向けディレクトリなどは未対応です。OccupySaaSは、認証APIの追加機能や管理APIの拡充も今後の作業に含めています。
SalesCompelは顧客管理の一部から開発
SalesCompelはSalesforceの代替を目指す顧客管理ソフトです。現在はGoとPostgreSQLを使うサーバー候補や、Vue製の画面試作などを公開しており、AccountとContactの登録・表示・編集を中心に開発しています。
初期プレビューでは、Salesforce互換APIを標準クライアントから使えることと、移行時に引き継げない項目を示す事前確認レポートを目標にしています。Apex、Flow、独自画面コンポーネントなどは初回リリースの対象外で、プロジェクトによると、これらに依存する組織は移行できません。
SalesCompelはAPIの一部やデータ操作を実装していますが、プロジェクトによると、全体の認証・認定には至っていません。現時点では限定された機能を持つ開発候補です。
セルフホストでは運用責任も利用者側に
既存のオープンソース認証基盤にはKeycloakがあり、Auth0とは運用形態が異なります。Keycloakは自社サーバーで動かす認証ソフトで、Auth0はCIAMサービスとして提供されます。KeycloakはOpenID ConnectとSAMLに対応し、複数アプリのSSOや外部IdP連携に利用できます。
Keycloakを自社運用する場合、サーバーの監視、更新、脆弱性対応や可用性の確保を運用側が担います。一方、CIAMサービスでは基盤部分を提供元に任せられますが、設定や設計は利用企業に残ります。OccupySaaSもセルフホスト型のため、利用者は自分の環境で動かし、サーバーを運用します。
OccupySaaSの各プロジェクトはApache License 2.0で公開され、ソフトウェアの利用料は不要としています。OccupySaaSは、Goを採用した理由として、単一の実行ファイルにまとめやすく、コンテナや自社サーバーで動かしやすい点を挙げています。










