AST SpaceMobile、衛星打ち上げ用ロケット「Blacklift」を開発 初飛行は2028年目標
出典: ast-science.com

BlueBird衛星を運ぶ専用ロケット

AST SpaceMobileは2026年11月6日、通信衛星BlueBirdを低軌道(LEO)へ運ぶ再使用型ロケット「Blacklift」の開発を発表しました。初飛行は2028年を目標としています。同社は既存の打ち上げ事業者との契約を続けながら、自社でも衛星の打ち上げ手段を整える計画です。

Blackliftは低軌道へ20トンを打ち上げられ、1回の飛行でBlueBirdを最大5基搭載できます。AST SpaceMobileは、衛星を自社施設で製造し、Blackliftで打ち上げる一貫体制を目指しています。

BlueBird衛星は、地上の携帯電話に直接インターネット接続を提供する衛星網を構成します。これまでに13基を打ち上げており、そのうち8基は「Block 2」型です。各Block 2衛星のアンテナ面積は約223平方メートルです。

Fireflyが初期3回分のエンジンを供給

BlackliftのブースターにはMiranda、上段にはViraエンジンを使います。どちらもFirefly Aerospaceが開発したエンジンで、飛行実績はありません。AST SpaceMobileによると、Mirandaは地上で175回の燃焼試験を行い、燃焼時間は合計4,200秒を超えています。

Fireflyは最初の3回のBlacklift打ち上げに、エンジンと関連する技術支援を提供します。この供給・サービス契約の金額は5億ドル(約790億円)です。その後、AST SpaceMobileはライセンス契約に基づき、エンジンを自社製造する予定です。

エンジンのライセンス契約額は約8億ドル(約1,300億円)で、半分を現金、残り半分を株式で支払ったとAST SpaceMobileは発表しました。同社の社長、スコット・ウィズニエフスキ氏は、Mirandaによって従来の5〜10年の開発期間を短縮できるとの見方を示しました。

既存の打ち上げ契約と並行して準備

Blackliftの開発中もBlueBirdの打ち上げは続きます。AST SpaceMobileは他の事業者と契約を結び、2027年と2028年に合計100基を超える衛星を打ち上げる計画です。これまでのBlueBirdはSpaceXのFalcon 9、Blue OriginのNew Glenn、インドのLVM-3で打ち上げられています。

AST SpaceMobileは、Blackliftを既存の打ち上げパートナーに代わるものではなく、衛星を運ぶ手段に加えるものと位置づけています。同社は、自社で打ち上げ時期や投入軌道を設定できることを、衛星網の展開や新たな市場への対応に結び付けています。

初飛行目標の2028年は、Cowboy Spaceが発表したロケット「Big Iron」と同じ年です。Blackliftを含む新型ロケットが運用に入る時期には、打ち上げ事業者や衛星運用者の計画が変わる可能性があります。

再使用設計と事業拡大の計画

AST SpaceMobileはBlackliftを再使用可能なロケットとして設計しています。同社は、エンジン技術には10年以上の開発期間と飛行実績があると説明しています。Blacklift自体には飛行実績がありません。

同社はBlackliftを通じ、携帯電話向けブロードバンドに加え、端末や機械向けの通信、AI関連サービス、レーダー、センシング、IoTなどへBlueBird基盤を広げる構想を示しています。これらは同社が掲げる将来の事業目標です。

Blackliftの低軌道への搭載能力は20トンで、SpaceXのFalcon 9について示された約25トンを下回ります。AST SpaceMobileは、1回の飛行で最大5基のBlueBirdを運ぶ想定を示しています。

AST SpaceMobile、衛星打ち上げ用ロケット「Blacklift」を開発 初飛行は2028年目標
出典: ast-science.com