
F-22の運用を支えるエンジン契約
米空軍のF-22「ラプター」は、F119エンジンの保守と制御ソフトの更新を進めています。RTX傘下のプラット・アンド・ホイットニーは2025年、F119の維持を担う3年間で最大15億ドルの契約を獲得しました。F-22の改修は、後継機F-47の開発が進む間もラプターを運用するための取り組みの一部です。
契約対象のF119は400基超で、飛行時間は合計90万時間を超えています。プラット・アンド・ホイットニーは、この契約でエンジンの稼働準備を高め、コストを抑えると説明しました。同社は、安全性、稼働率、整備の簡素化、近代化も契約の重点に挙げています。
米空軍が戦闘任務に使えるF-22は143機です。F-47はF-22をすぐに置き換えるのではなく、開発後に機数をそろえ、能力を成熟させる必要があります。そのため、F119の維持や性能改善は、次世代機の導入まで既存機を運用する計画に関わります。

実飛行データを使う保守と制御更新
プラット・アンド・ホイットニーは「Usage-Based Lifing(UBL)」を通じ、実際の飛行データを使って整備の効率化とエンジン寿命の延長を図っています。従来の維持費の見積もりは過去の実績や平均的な任務使用量を基準にしていましたが、UBLでは部品の実際の摩耗を保守判断に反映します。この方法は、予定時期に基づく整備から、エンジンの状態に応じた整備へ移す取り組みです。
同社は、エンジン制御スケジュールの更新も進めています。この更新では、エンジンの運動性能を高めるため、F119のデジタルエンジン制御ソフトを変更します。Simple Flyingは、自動制御の限界値も変更される見込みだと報じています。

FADECは「全権デジタルエンジン制御」の略で、デジタルコンピューターが航空用エンジンを制御する仕組みです。センサーから回転数や温度などの情報を受け取り、コンピューターが演算して燃料計量弁や点火装置などへ制御信号を送ります。制御スケジュールの更新では、こうした制御の設定をソフトウェアで変更します。
ソフト更新で変わるエンジンの性能
F119は2基でF-22を推進し、各エンジンの推力は3万5,000ポンドを超えます。F-22はアフターバーナーを使わずに超音速飛行を続ける「スーパークルーズ」に対応します。プラット・アンド・ホイットニーは、制御スケジュールの更新をUBLによる保守改善とあわせて進めています。

FADECは、センサーの入力と機体側から求められる運転状態をもとにエンジンを制御します。燃料流量やエンジン内部の可変部品などを制御し、飛行状況に応じてエンジンの動作を調整します。デジタル制御では、制御機能の追加や変更が容易です。
F119の更新では、制御スケジュールの変更によってエンジンの運動性能を高め、作動限界を調整することが見込まれています。UBLのライフサイクル全体での節約額は約8億ドルと見込まれています。

F-22の改修とF-47の新エンジン
F119のソフト更新は、F-22の中期改修の一要素です。機体には赤外線捜索追尾(IRST)センサー、レーダー改良、ステルス塗装、電子戦装備、コックピットなどの更新も計画されています。既存の機体設計を生かした改修には限界があり、F119の更新も新型機向けのエンジン開発とは役割が異なります。
次世代機F-47向けには、空気の流れを3つの経路で調整する適応サイクルエンジンが検討されています。GEエアロスペースはXA102、プラット・アンド・ホイットニーはXA103を、次世代適応推進(NGAP)計画の一環で開発しています。これらのエンジンは、F119の改修では実現できない世代的な性能向上を担う構想です。









