
ボーイング777XにはGE AerospaceのGE9X、エアバスA350にはロールス・ロイスのTrent XWBが搭載されます。GE9Xは大型機の積載力を支える高推力設計で、Trent XWBはA350の長距離運航に合わせて設計されています。777Xの認証を待つGE9Xに対し、Trent XWBは2015年から運航実績を重ねています。

777XとA350で異なる搭載エンジン
A350-900にはTrent XWB-84、長胴型のA350-1000にはTrent XWB-97が搭載されます。777Xの旅客型である777-8と777-9は、どちらもGE9Xを採用します。

GE9Xは2020年に米連邦航空局(FAA)の認証を取得しました。一方、777Xは機体認証前で、運航を開始していません。Trent XWBはA350-900とともに2015年に就航し、A350-1000向けのTrent XWB-97も運航されています。
機体の仕様にも違いがあります。A350-1000の最大離陸重量は32万2,000キログラム、777-8は36万5,140キログラムです。GE9Xの最大推力は実運用向けの定格で約489キロニュートン、Trent XWB-97は約432キロニュートンです。
2スプール式と3軸式の構造
GE9Xは2スプール式、Trent XWBは3軸式です。スプールは圧縮機とタービンをつなぐ回転軸の組を指します。GE9Xは低圧系と高圧系、Trent XWBは低圧・中圧・高圧の系統で構成されています。
Trent XWBの3軸式では、低・中・高圧の各部が異なる速度で回転できます。それぞれの運転に適した速度で各部を回すことが、効率を高める設計上の特徴です。GE9Xは2スプール式を採用しており、この構造の違いはファンや圧縮機などエンジン全体の設計にも表れています。
GE9Xのファン直径は約3.4メートル、Trent XWB-97は約3.0メートルです。GE9Xは複合材製ファンブレードを16枚、Trent XWBはチタン合金製ブレードを22枚備えます。GE9Xのバイパス比は約10対1、全圧力比は60対1です。Trent XWBの全圧力比は50対1です。
GE9Xは大きなファンと圧縮比を重視
バイパス比は、燃焼器を通る空気に対し、その外側を通る空気の量を示します。GE9Xは大きなファンと約10対1のバイパス比を組み合わせ、大量の空気を動かす設計です。GE Aerospaceは、GE9Xのファン直径を134インチ、全圧力比を最大60対1と公表しています。
圧力比は、エンジン内部で空気を圧縮する度合いです。GE9Xは高圧圧縮機や燃焼器、タービンにも新技術を取り入れ、圧縮比や耐熱性を含めた効率向上を目指しています。GE Aerospaceによると、GE9Xの燃料消費率はGE90-115Bより最大10%改善します。
GE9Xの乾燥重量は約9,525キログラム、Trent XWB-97は約7,549キログラムです。777XはA350より大きな積載量を想定する機体で、GE9Xはより高い推力を備えます。ボーイングは、777-9の座席当たり運航コストがA350-1000を10%下回ると見込んでいます。
Trent XWBはA350の長距離運航に合わせる
A350は2006年に正式に計画が始まり、複合材などの先進材料を機体の70%超に用いたクリーンシート設計です。主翼は空力性能を重視し、飛行中に翼面が変化する設計を採用しています。機体側の材料や空力設計も、エンジンとともに燃料消費の改善を担います。
Trent XWB-84はA350-900向けで、より大きな推力を持つTrent XWB-97はA350-1000向けです。ロールス・ロイスは、Trent XWBをA350と組み合わせることで燃料消費と二酸化炭素排出を25%削減するとしています。
Trent XWB-97の整備面では、ロールス・ロイスが高温や砂塵の多い環境での耐久性向上に取り組んでいます。新しいコーティングなどを含む第1段階の改良後、同社は厳しい環境でのエンジンの翼上時間が60%増えたと報告しました。第2段階では、さらに最大30%増えると見込んでいます。
運航実績と認証段階の差
Trent XWBは2015年の就航以降、A350で運航実績を積んできました。ロールス・ロイスによると、Trent XWB-97のディスパッチ信頼性は99.9%です。ディスパッチ信頼性は、予定どおり運航に使える状態にある割合を示します。
GE9Xはエンジン単体でFAA認証を取得していますが、搭載先の777Xは機体認証を終えていません。そのため、GE9XとTrent XWBを比べる際は、設計上の数値と実際の運航実績を分けて見る必要があります。GE9Xの商業運航実績は、777Xの就航後に積み上がります。
両機の燃費や運航コストは、エンジン単体だけでなく、機体の設計や座席数、運航条件と合わせて評価されます。










