
JAXA Earth APIは、地域や日時を指定して地球観測データを取得できるサービスです。100件以上のデータセットをPythonやJavaScriptから扱えます。QGIS用プラグインやAIエージェントからも利用できます。
データ取得時の前処理をAPIが担う
JAXAは約30年にわたり、陸域・海洋・大気に関する地球観測データを蓄積してきました。衛星やセンサーごとに形式や仕様が異なり、大容量ファイルの処理には専門知識や高性能なコンピューターが必要でした。
JAXA Earth APIでは、PythonとJavaScriptのモジュールを使い、緯度・経度や日時、データセットを指定して必要なデータを取得できます。投影変換や工学値変換などの前処理も自動で行われるため、利用者はプログラムから数値データを扱えます。
地形、森林・植生、降水量、地表面温度、海面水温など、100件以上のデータセットが公開されています。JAXAの地球観測データの一部に加え、関連機関の公開データも含まれ、順次追加される予定です。
COGとSTACで必要な範囲を取得
データ配信には、オンラインでの利用に適したCOG(Cloud Optimized GeoTIFF)形式が使われています。COGはHTTPの範囲リクエストに対応し、必要な地域やズームレベルに応じたデータ部分を取得できます。
STAC(SpatioTemporal Asset Catalogs)は、データセット内の複数のCOGファイルを探すためのJSON形式のカタログです。各ファイルを機械的に探索でき、オープン規格のためSTAC対応システムからも利用できます。
サーバー側はCOGとSTACによる静的なデータ配信を行い、クライアント側のPython・JavaScriptモジュールが指定に応じてデータを取得します。サーバー側で動的な処理を行わない構成で、COGファイルを直接ダウンロードしてGIS解析ツールで使うこともできます。
QGISプラグインで地図に表示
QGISは、地図データの表示や分析に使うGISソフトです。JAXA Earth APIプラグインを使うと、APIのデータをQGIS上で検索・閲覧できます。MIERUNEがオープンソースで公開し、ダウンロード数は2万回を超えています。
プラグインでは、APIモジュールを個別に準備してコードを書く方法に加え、GUI上の操作で衛星データを可視化できます。
利用できるデータの例として、地表面温度は「しきさい」(GCOM-C)による観測で、空間分解能は約5kmです。雲がある場合は観測できず、データが欠損します。海面水温には別の衛星によるデータもあります。「しずく」(GCOM-W)は雲があっても観測できますが、空間分解能はGCOM-Cより低く、沿岸付近は対象外です。
Mapsukeからの操作と利用条件
MIERUNEが公開したQGIS用プラグイン「Mapsuke」は、チャットでQGISを操作するAIエージェントです。CodexまたはClaude Codeを接続でき、QGISのプラグインが提供する処理を呼び出せます。
デモでは、千葉県のバスデータを地図上に表示するよう指示し、GTFSデータの取得から路線の可視化までを進めました。JAXA地球観測研究センターの河村耕平氏は、Mapsukeに富士山周辺の地形表示と地表面温度の重ね合わせを指示し、データの検索・表示が行われた事例を紹介しました。
APIの利用にユーザー登録やAPIキーは不要で、利用回数の制限も設けられていません。APIモジュールは無償で利用できますが、商用利用の条件はデータごとに異なり、各データのSTACに記載されたライセンスが適用されます。QGIS LABでは、MapsukeによるAIエージェントの操作方法を学ぶ研修も予定されています。











