
Palm OSの開発に使われたSDKやソースコード、技術文書などを集めた個人アーカイブが公開されました。容量は約1GBで、25年以上にわたりバックアップ上に保管されていた資料も含みます。
個人のバックアップから開発アーカイブへ
公開したのは、Palm OS向けソフトウェアを手がけてきたAaron Ardiriです。開発者から過去に作ったソフトウェアについて連絡を受け、Palm OSに関心を持つ人々が活動を続けていると知ったことが、手元の資料を公開するきっかけになりました。
アーカイブには、ソフトウェア開発キット(SDK)、技術文書、開発者会議の発表資料、ユーティリティー、プログラミング例などが含まれます。Palm OS 3.5、4.0、5.0向けのソースコードも一部収録されています。
ファイルは、古い開発環境で使われていた形式をできるだけ保つ方針で保存されています。重複や不完全なファイル、現在では入手しにくい環境に依存するツールも含まれます。
ROMや市販アプリは収録対象外
アーカイブにはPalm OSのROMイメージやファームウェア、市販アプリやゲームの無許可配布、Palm OSシミュレーターやエミュレーターのバイナリーは含まれません。権利上の理由から、開発関連の資料に対象を絞っています。
収録物のすべてがオープンソースまたはパブリックドメインというわけではありません。元の著作権は各権利者に残り、明示されたライセンスがある場合はその条件が適用されます。
古い実行ファイルや開発ツールには、現在の環境で動作しないものや、既知の脆弱性を含むものがあります。このアーカイブは歴史研究や教育などを目的とする保存活動で、各ツールが現行環境で動くことを保証していません。
当時の開発ではSDKとクロス開発ツールを使用
2001年のLinux向け入門ガイドでは、Palm OS SDKに加え、PRC ToolsとGNUの開発ツールを使う手順が紹介されています。PRC ToolsはPalm OS向けに調整されたGNU系ツール群で、ガイドではLinux上での開発環境を扱っています。
具体的には、GCC 2.95.2、binutils 2.9.1、GDB 4.18、PRC Tools 2.0を組み合わせ、m68k-palmos向けのコンパイラーを構築します。C言語のプログラムをコンパイルした後、リソースを変換し、build-prcで端末用のPRCファイルを作ります。
PRCはPalm OSで実行するアプリケーションや共有ライブラリーを収める形式で、PDBは電話帳などのデータを記録するデータベース形式です。Palm OSでは端末内の保存領域をデータベース管理の仕組みとして扱い、アプリもデータベースとして保存します。
限られたメモリーに合わせたアプリ設計
2004年のMicrochip Technologyの技術資料によると、当時のPalm OS端末ではヒープメモリーがキロバイト単位で、保存領域も2〜64MBの範囲でした。アプリは大きなデータ構造を自由に確保できず、アドレス帳などのデータ量もアプリが使える空き容量に影響しました。
同資料が説明する動作モデルでは、利用者向けアプリはスレッドを使えません。アプリを終了すると表示中のレコードを記録し、再起動時にその状態へ戻ることで、実行が続いていたように見せます。
開発者は画面や入力方法に加え、メモリー、保存容量、処理速度、電力の制約も考慮する必要がありました。Palm OSのAPIで画面要素などを操作し、C言語で書いたアプリをエミュレーターや実機で動かす手順も、当時の開発作業に含まれていました。










