
2026年9月、SpaceXのStarshipは初めて地球周回軌道に到達し、次世代通信衛星Starlink V3を26機放出しました。V3は衛星を大型化し、通信容量を増やすことで、混雑地域や地上局から遠い地域での通信を支える設計です。
Starshipで投入する大型衛星、1機最大1Tbps
V3は折りたたんだ太陽電池パドルを含めて約7メートル、質量は約2トン級とされています。SpaceXは、V3のダウンリンクを最大1Tbps、アップリンクを最大160Gbpsとし、従来のV2衛星に比べてそれぞれ約10倍、約22倍の通信性能を掲げています。
V3は、Falcon 9より多くの衛星を運べるStarshipでの打ち上げを前提に大型化しました。Starshipによる将来の打ち上げでは、1回に最大60機を投入する計画です。StarshipのFlight 14では、V3衛星26機が実際に軌道へ放出されました。
通信容量を支えるのは衛星の大きさだけではありません。SpaceXによると、V3はダウンリンクとアップリンクでそれぞれ2,048本のビームを形成できます。ビームは地上の特定範囲へ電波を届ける通信領域です。数が増えると、地域ごとに容量を割り振りやすくなります。
ビーム増加と低軌道化で混雑への対応を狙う
都市部では、多数の利用者が限られた衛星容量を共有します。V3は1機あたりの通信容量とビーム数を増やし、人口密集地やイベント会場など、短時間に需要が集まる場所で容量を配分しやすくします。
SpaceXは、V3に従来の約64倍の処理能力を持つモデムチップを採用し、地域ごとの需要に応じてビーム容量を配分すると説明しています。太陽電池アレイの発電能力もV2のおよそ2倍とし、衛星間通信には400Gbps級のレーザーを6基搭載する構成です。
V3の運用高度は、従来のブロードバンド衛星より低くする計画です。衛星と地上の距離が縮まると電波の損失を抑えやすくなり、ビームが担当する地上範囲も小さくなります。離れた地域で同じ周波数を再利用しやすくなり、衛星網全体の通信容量を増やせます。
衛星間レーザーが地上局の遠い地域を結ぶ
衛星間レーザー通信は、衛星同士でデータを送る仕組みです。SpaceXは、光レーザー網で地上局から遠い地域にも継続的な通信を提供し、外洋上の航空機や極域をカバーするとしています。
SpaceXによると、Starlinkの衛星網には9,000基を超えるレーザーがあり、1日あたり10ペタビットを超えるデータを転送しています。レーザー1リンクは最大100Gbpsで通信し、5,300キロメートル以上離れた衛星間を接続できるとしています。
衛星同士でデータを中継すれば、通信経路を地上局の近くに限らず構成できます。
サービス拡張と衛星系列の違い
SpaceXは2026年中に、Starlinkでギガビット級サービスを可能にするネットワーク改良を進めるとしています。現行のPerformance端末は、ハードウェアを交換せず将来のサービス向上に対応する計画です。
Starlinkの「V3」はブロードバンド衛星の世代名です。携帯電話との直接通信を担う衛星は別系列で、現行のV1 Mobileに続くV2 Mobileは従来比約20倍のスループットを掲げ、2027年からStarshipで展開する計画です。
V3で開発した太陽電池や電子回路、フェーズドアレイなどの技術は、V2 Mobileにも転用する予定です。











