
ValveのVRヘッドセット「Steam Frame」は、顔や頭に触れるパーツやレンズを交換しやすい構造を備えています。一方、冷却ファンの交換には光学部品などを取り外す必要があり、iFixitは修理上の課題として挙げました。バッテリーやコントローラーにも交換時の難しさが残ります。

冷却ファンの交換には内部の分解が必要
iFixitによると、Steam Frameではファンとヒートパイプが別部品になっています。ヒートパイプは熱を運ぶ部品で、ファンとともに本体内部を冷却します。ファンを取り外すには、光学部品の奥にある密集した構造を通り、周辺の部品も分解する必要があります。
iFixitは、ファンにたまったほこりの除去や、摩耗したファンの交換を考えると、アクセスしにくい設計が修理の負担になると指摘しています。冷却部品が別々でも、目的の部品までたどり着く手順が多ければ、整備しやすいとは限りません。
同じくスタンドアロン型のVRヘッドセットであるMeta Quest 2では、分解時にファンやヒートシンク、熱伝導材を使ったプロセッサ周辺の冷却構造が確認されています。Quest 2では、Snapdragon XR2の上に熱伝導材があり、取り外したヒートシンクの下にチップが見つかりました。Steam Frameでもファンとヒートパイプが内部に配置されています。
顔に触れるパーツやレンズは交換しやすい
Steam Frameの光学部と演算部は、バッテリーやスピーカーを含むヘッドバンドから取り外せます。フェイスクッションと後頭部のクッションは交換でき、鼻に当たるパーツも単独で取り外せます。iFixitによると、ヘッドバンドを外せるため、ディスプレイ側を動かさずに背面バッテリーを扱えます。
レンズは瞳孔間距離(IPD)を調整するレールに磁石で取り付けられています。レンズを外す際にはねじやケーブルを扱う必要がありますが、iFixitは光学部品を比較的交換しやすいと評価しました。ディスプレイのケーブルは液晶パネルの背面に接着されているため、磁石で固定されたレンズのようには簡単に取り外せません。
顔に触れる消耗部品やレンズには手が届きやすい一方、すべての部品を工具なしで交換できるわけではありません。iFixitは、修理時にマザーボードを取り出す必要がない点も挙げています。
バッテリーとコントローラーには課題
ヘッドバンド内のバッテリーには、簡単に引き抜くためのタブがありません。iFixitはイソプロピルアルコールを使い、慎重にこじ開けて取り外しました。バッテリーは20.9Whの2セル式リチウムポリマーパックです。
コントローラーでは、サムスティックが基板にはんだ付けされています。そのため、スティックが壊れた場合、部品を外して差し替えるだけでは交換できません。一方、コントローラーの電源には交換式の単3電池が採用されています。
iFixitのMeta Quest 3分解では、バッテリー交換に複雑な手順が必要で、iFixitは本体の修理しやすさを10点中4点と評価しました。Quest 3のコントローラーも交換式電池を採用しており、iFixitによると、電池交換時にコントローラーを壊すリスクを避けられます。Steam Frameもコントローラーの電池は交換できますが、本体バッテリーは接着剤で固定されており、取り外しには手作業が必要です。
交換部品の販売と価格
iFixitはSteam Frameの交換部品を自社ストアで扱う予定ですが、販売開始時にはバッテリーを取り扱わず、ディスプレイも当初は販売しません。iFixitはバッテリーの取り扱いを望んでいるとしています。Valveは保証対象の製品の修理や交換に対応します。保証対応とは別に、利用者が自分で修理するための部品供給も関わります。
Engadgetによると、Steam Frameの価格は1,059ドルからで、Meta Quest 3より高額です。Engadgetは、価格に見合う体験の向上があるとは言いにくく、発売時期の遅さも購入判断を難しくすると評価しています。また、単体で動作するSteamゲームへの対応や、無線でのPCストリーミング、microSDによる容量拡張を特徴として挙げました。











