ASML NXE3400 system front open
出典: asml.com

Elon Musk氏らが進める半導体製造計画「Terafab」では、ASML製のEUV露光装置が2027年半ばに届く見通しです。一方、開発工場の建屋完成は2027年後半とされ、装置の搬入まで時間が空く可能性があります。量産工場の第1段階は2029年後半に稼働し、2030年半ばに量産化するとの予測です。

EUV装置の納入と工場建設の時間差

納入されるとされるのは、ASMLの「TWINSCAN NXE」シリーズに属するEUV露光装置です。EUV露光は、極端紫外線を使って半導体の回路パターンをウェハーに転写する技術です。Terafabの初期計画では従来型の装置を使う見込みです。

Teslaは2026年4月、テキサス州オースティン近郊のギガ・テキサス北キャンパスで研究用工場の建設に着手しました。建屋の完成まで約15カ月、その後、製造設備の搬入と設置にさらに約6カ月かかるとの予測です。

この工程どおりなら、装置の到着が建屋の完成や設備搬入に先行し、しばらく稼働しない期間が生じます。工場側は、量産工場の第1段階に向けてチップ製造を実験し、チームを準備する施設として位置づけられています。

EUV露光で回路を転写する仕組み

EUV装置は波長13.5ナノメートルの光を使い、チップの微細な層を印刷します。光は空気にも吸収されるため、光源からウェハーまでの光路全体を高真空に保ちます。

装置内ではレンズの代わりに多層膜ミラーで光を導き、回路パターンを持つ反射型のマスクからウェハーへパターンを縮小して転写します。NXE装置ではパターンを4分の1に縮小し、EUV光を使って複雑な基礎層を形成します。

光源は、二酸化炭素レーザーを高速で動くスズの液滴に照射してEUV光を発生させます。NXEは数値開口数0.33の装置で、次世代のEXEは0.55のHigh-NA装置です。ASMLはEXEの解像度として8ナノメートルをうたっています。

Low-NAとHigh-NAの違い

数値開口数(NA)は、光学系が光を集めて焦点を合わせる能力を示します。NXEのNAは0.33、High-NA対応のEXEは0.55です。NAを高めることで、より小さな特徴を印刷できます。

EXEは非等方光学系を採用し、マスクのパターンを一方向に4倍、もう一方向に8倍縮小します。この設計により、従来サイズのマスクを使い続けながら、High-NAで生じる光の入射角の課題に対応します。

一方、EXEの露光範囲はNXEの半分となるため、ウェハー1枚のパターン形成に必要な露光回数は2倍です。EXEではウェハーとマスクを動かすステージを高速化しています。TWINSCAN EXE:5000は毎時185枚超のウェハーを処理できるとされています。

Terafabの採用技術と量産時期

TerafabはIntelの14A製造技術を使う計画です。14Aでは従来型のLow-NA EUV装置と次世代のHigh-NA装置の双方を使います。今回の初号機に関する情報は、少なくとも初期段階で従来型EUV装置を導入する計画と整合します。

TSMCのA12は、同社が第2世代とする裏面電力供給技術とナノシート型トランジスタを組み合わせた製造技術です。TSMCはA12の量産開始を2029年に予定しています。

Terafabの量産工場第1段階は、建設に20カ月、設備導入に17カ月、量産立ち上げに6カ月を要するとの予測です。稼働開始は2029年後半、量産化は2030年半ばと見込まれています。Intelは14Aのリスク生産を2027年後半、量産開始を2028年後半に計画しており、Terafabの計画より先行する日程です。

Terafabでは、SpaceXが2026年4月に半導体製造装置を発注したとされています。設備の調達は工場用地の正式発表より前に進み、装置の長い納期を踏まえた計画とされています。