
Teslaは、太陽光発電タイルを屋根材に組み込んだ「Solar Roof」の販売を縮小し、施工業者網には一般的な太陽光パネルを供給する方針です。週1,000件という設置目標に実績は大きく届かず、高価格や施工上の課題も重なりました。
Solar Roofは屋根材と発電設備を一体化
Solar Roofは、発電するガラスタイルと発電しない同形のタイルで屋根全体を構成する製品です。通常の屋根置きパネルのように屋根の上へ設備を載せず、屋根材そのものに太陽光発電機能を持たせる設計です。
タイルは、斜め方向から太陽電池が見えにくくなるよう光を反射させ、一般的な屋根材に近い外観を目指しています。通常の太陽光パネルの98%の効率を実現します。
製品は2020年に量産へ移り、Teslaは週1,000件の設置を目標に掲げました。Wood Mackenzieの推計では、米国での累計設置数は約3,000件、導入容量は約30メガワットで、2022年の週平均設置数は21件でした。
目標と実績の差が拡大
Wood Mackenzieの集計では、2022年第1四半期が設置数の最も多い四半期で、週当たり32件でした。米国では年間約500万件の屋根が新設されるなか、Solar Roofの2022年のシェアは屋根市場の0.03%未満と推計されています。
Teslaのイーロン・マスクCEOは2021年の決算説明会で、重大なミスが過剰支出と大幅な遅延につながったと認めました。製品は複数回設計を見直したものの、設置数は週1,000件の目標に届きませんでした。
価格も販売上の課題となりました。3,947平方フィートの屋根に12.3キロワットのシステムを設置する試算では、税制優遇前の価格が5万4,966ドル(約860万円)から、翌年には7万9,938ドル(約1,300万円)〜10万621ドル(約1,600万円)へ上昇しました。
一般パネルとの費用差
2026年の価格目安では、Tesla Solar Roofの設置費は一般的な戸建てで5万ドル(約790万円)〜10万ドル(約1,600万円)超とされます。屋根を新しくして6〜10キロワットの一般的なパネルを載せる場合は、屋根工事が1万ドル(約160万円)〜2万5,000ドル(約390万円)、太陽光設備が税制優遇前で1万8,000ドル(約280万円)〜3万ドル(約470万円)、合計で2万8,000ドル(約440万円)〜5万ドル(約790万円)という試算です。
Solar Roofは発電タイルだけでなく、発電しないタイルも含めて屋根を置き換える構成です。屋根の形状が複雑で、谷やドーマーなどが多い場合は、発電しないタイルの割合が増えて費用が上がります。
一般的なパネルは既存の屋根に設置できる場合がある一方、屋根の寿命が近ければ先に屋根工事が必要です。Solar Roofは屋根材と発電設備をまとめて導入するため、費用を比べる際は、屋根の交換費用を含めた計画同士を見比べる必要があります。
Teslaの縮小後も残る一体型太陽光
2026年8月、TeslaはSolar Roofの提供を終了し、外部の施工業者網には通常の太陽光パネルを供給しました。案件の進行時期によっては、施工業者がSolar Roofを提供している例もあります。
太陽光発電を屋根材に組み込む製品はTesla以外にもあります。Wood Mackenzieは、GAF Energyの「Timberline Solar」を競合製品として挙げ、屋根工事を検討する顧客に接点を持つことや、施工の速さと容易さを普及に有利な点として評価しています。











