
Twilioのマーケティングチームは、1件のキャンペーンにかけていた企業調査と個別コンテンツ作成の時間を、2週間超から1日未満に短縮しました。四半期あたりのアカウント別キャンペーン数も、従来の標準だった3件から最大15件へ増えています。実現を支えたのはAIモデルだけでなく、データ整備やブランド管理、複数ツールの連携でした。
キャンペーン準備の短縮とAI導入の段階
アカウントベースドマーケティング(ABM)は、見込み客を広く集めるのではなく、取引したい企業を選び、営業とマーケティングが協力して重点的に働きかける手法です。両部門が対象企業について合意し、時間と資源をそこへ集中させます。
個別キャンペーンでは、対象企業の課題や意思決定の進め方を調べ、その企業に合わせたメッセージやコンテンツを用意します。ABMでは、対象企業の選定や調査、個別メッセージの作成、部門間の連携、複数チャネルでの接点づくりを行います。
ABMでは、顧客データなどを使って対象企業を特定し、買い手側の関係者を把握します。こうした調査と個別化が、Twilioのキャンペーン準備で時間を要していた作業に当たります。準備の短縮は、個別対応を維持しながら処理件数を増やす取り組みです。
短縮を支えた人の判断とデータ整備
Twilioでは、AIによる自動化に先立ち、人がブランドの基準や創造性を踏まえて作業を整理しました。フランス向けキャンペーンのローカライズでは、AIツールが人物全員にベレー帽を加え、ブランドの表現基準に合わず公開できない案になった例があります。
AIエージェントがチームや従業員に代わって動くには、データが正確で、相互につながり、必要な人やシステムからアクセスしやすい状態である必要があります。Twilioのマーケティング担当者は、こうした条件を満たす企業データは少なく、データの準備が整っていると答えたデータ責任者は8.4%だったと指摘しました。
NISTは、AIを組織の業務へ組み込む際の柱として、ガバナンス、業務への統合、学習・人材育成を挙げています。運用面では、AI利用の記録や方針、提供者の利用条件とライセンスの確認、業務フローの分析を活動例にしています。AI利用のリスク管理と従業員の技能向上も、組織的な取り組みに含めています。
実験から本番運用へ進むための課題
Twilioのマーケティング担当者は、企業でのAI利用を、個人の生産性向上、チームの共有ワークフローへの組み込み、業務全体の自律実行という3段階に整理しています。この分類は寄稿者自身の枠組みで、業界標準ではありません。Twilioは現在、チームでAIを使う第2段階にあり、第3段階へ向けて取り組んでいるとしています。
Deloitteの調査では、回答組織の34%が新製品・サービスの開発や中核業務の再構築に着手し、30%が主要プロセスをAIに合わせて再設計していました。一方、37%は既存業務をほとんど変えずにAIを使う段階でした。調査は2025年8〜9月に24カ国の上級幹部3,235人を対象に実施されました。
Deloitteは、AIを業務へ広げるうえで、経営幹部が関与するガバナンスや、人が監督を担う仕組み、信頼できるデータ基盤を重視しています。NISTも、エージェントの外部システムや内部データへの接続性、相互運用性を実用上の課題に挙げ、標準化やセキュリティ、識別の研究を進める方針を示しました。NISTは今後の研究やガイドラインの公表を予定し、2026年4月から分野別の意見交換会を開くとしています。
顧客向けAIでは結果と文脈が焦点
AIを使った顧客サービスについて、企業の86%は顧客が満足していると考える一方、そう答えた消費者は51%でした。Twilioが2026年4月9日から5月1日にかけ、18市場の消費者7,652人と企業幹部660人を調査した結果です。
Twilioの調査では、消費者がサポートで重視するものとして、問題の迅速な解決と対応の速さが挙がりました。91%は、個別化されたやり取りをより本物らしく感じると回答しています。Twilioは、顧客の過去の会話や状況を踏まえ、人間の担当者へ引き継ぐ際にも文脈を保つことが重要だとしています。











