神山健治監督が、ガンダム50周年プロジェクトのアニメ『機動戦士ガンダム RG XARX-ZERO』について、物語の設定やゲームとの連携、作品に込める考えを語りました。 アニメとゲームを同じ世界観で展開し、地球を追われた人類が宇宙から来た生命体に立ち向かう物語です。 モビルスーツと戦争というシリーズの要素を保ちながら、新しい世界をどう形にするかが制作の軸になっています。
アニメとゲームで共有する新たな世界
本作は、アニメとビデオゲームを同時に立ち上げる大規模なメディア展開として企画されました。 両作品は同じ世界の設定を共有し、それぞれの媒体を越えて展開します。
アニメでは物語を成立させるため、世界の仕組みやルールを先に組み立てます。 一方、ゲームではまず遊びの仕組みを中心に考え、その後に物語などを組み立てるため、出発点が異なります。
この異なる進め方をすり合わせ、共通の世界をつくることは難しい作業だったと神山監督は振り返りました。 アニメとゲームを一体のプロジェクトとして展開するため、世界設定を共有できる形に整えています。
地球を追われた人類と「三つの啓示」
物語では、光より速く移動できるシリコン生命体が宇宙から地球に到来します。 生命体は人類に三つの技術をもたらし、人類はそれらを「三つの啓示」と呼びます。
三つの技術は、超光速移動、思考したものの実体化、重力制御です。 人類はこれらを利用して発展しますが、やがて生命体が地球を侵略し、人々を地球から追い出します。
シリーズが始まる時点で、人類は地球を取り戻すため、生命体との戦争に臨もうとしています。 物語は、新技術を戦いにどう用いるかに加え、それらが人間社会にどう組み込まれ、生命体との関係にどう影響するかも扱います。
モビルスーツと戦争を受け継ぐ
神山監督は、ガンダムの物語には戦争と反戦のメッセージが欠かせず、人間が技術を使って宇宙へ進出することも重要な要素だと説明しました。 本作でも、モビルスーツに搭乗したパイロットが戦う構図を引き継ぎます。
1979年の『機動戦士ガンダム』は、地球連邦とジオン公国の戦争を描き、連邦軍の試作モビルスーツ「RX-78-2 ガンダム」に民間人のアムロ・レイが乗り込みます。 ジオン側もザクなどのモビルスーツを戦力として運用します。 神山監督が挙げた「戦争」と「モビルスーツ」は、初代作品の戦争を軸とした設定にも通じる要素です。
初代作品は、モビルスーツを量産される兵器として描きました。 ザクも量産型兵器として位置づけられ、従来のロボットアニメに多かった、個々のロボットを中心とする描写とは異なる見方を示しました。 神山監督はザクの量産兵器としての発想を、当時のロボットアニメに新しい考えをもたらした点として評価しています。
既存の型を生かし、新しさを加える
神山監督は、ガンダムらしさを保つには、モビルスーツが存在する理由や人が搭乗して戦う理由にも説得力が必要だと語りました。 とくに北米の視聴者にも受け入れられるよう、世界の前提から考える必要があり、そこが制作で最も難しかったといいます。
主人公像については、特別な天才ではない人物が大きな争いに巻き込まれ、周囲との関わりを通じて成長する点を挙げました。 神山監督は、主人公の変化だけでなく、その人物との関わりで周囲の人々も変わっていくことが、ガンダムの物語に必要だとしています。
タイトルの「ゼロ」には「やり直し」の意味があり、「RX」はコードを指す言葉遊びも含むと説明しました。 神山監督は、冒頭の半透明の「X」に明かせない仕掛けがあると述べました。 また、特別な立場や能力を持つ人が、それを状況の改善に役立てることを、自身の作品に通じるテーマとして挙げています。











