A digital illustration depicting inflammation in a knee joint.
出典: mdanderson.org

免疫療法後に続く関節炎の再発

免疫チェックポイント阻害薬による治療後、関節の炎症が繰り返し起き、再発時に症状が強まる場合があります。患者6人の関節液を調べた研究では、初回と再発時の両方に現れる免疫細胞が見つかりました。この結果から、過去の炎症に関わった細胞が再び活動する可能性が示されました。

免疫チェックポイント阻害薬は、免疫細胞ががんを攻撃する際に働く抑制を弱める薬です。免疫の活動が高まる一方で、関節などの正常な組織が攻撃対象となり、痛みや腫れを伴う炎症性関節炎が起きることがあります。

この副作用を発症した患者の約20〜50%では、関節炎が再発するとされています。症状が治療終了後も数カ月から数年続く場合があります。再発の仕組みを調べることは、がんへの治療効果を保ちながら炎症を抑える方法を考えるうえで重要です。

再発時に活動する免疫細胞

研究チームは、初回と再発時の関節液に共通して現れた細胞として、炎症性のCD8 T細胞と、PD-1およびCXCL13というマーカーを持つ特殊なCD4 T細胞を特定しました。T細胞は免疫の働きを担い、一部は過去の反応後も体内に残ります。

同じ細胞集団が別々の発作で見つかったことから、再発時の炎症は毎回新たに始まるのではなく、初回に関与した細胞が再び動くことで生じる可能性があります。この免疫記憶の仕組みは、がん免疫療法を終えた後にも関節炎が戻る理由の一つと考えられています。

再発時には、免疫細胞が作る炎症性のシグナル分子が増え、細胞同士の情報伝達も活発になっていました。通常は免疫を抑える制御性T細胞も、再発時には炎症性分子を作っていたとされます。このため、炎症を鎮める働きが弱まる可能性があります。

免疫の抑制を弱める薬の仕組み

免疫チェックポイントは、T細胞の活動を抑えて免疫の過剰反応を防ぐ仕組みです。がん細胞はこの抑制を利用して免疫の攻撃を避けることがあります。免疫チェックポイント阻害薬は、PD-1やPD-L1などの分子を抗体でブロックし、T細胞ががんを攻撃できるようにします。

抑制が弱まると、免疫細胞ががんだけでなく正常な組織にも反応する場合があります。皮膚、腸、肺、甲状腺などに炎症が起こることがあり、関節の炎症も免疫関連有害事象の一つです。

この研究で見つかった細胞集団が、再発しやすい患者を見分ける指標になるかは、今後の研究課題です。免疫細胞の働きを標的にする治療につながる可能性もあります。関節の炎症を抑えながら、薬のがんへの効果を保つことが目標です。

発症頻度の推定と研究の条件

別のシステマティックレビューとメタ解析では、免疫チェックポイント阻害薬を受けた患者全体における、新たに発症した炎症性関節炎の割合を調べました。対象は65報、63研究で、発症頻度の計算には、患者数と発症者数を確認できる5つの患者集団、計4,644人が含まれました。

この5集団をまとめた粗発生割合は2.87%で、95%信頼区間は2.02〜4.07%でした。発症の定義は研究ごとに異なり、5集団のうち3集団はバイアスのリスクが高いと評価されています。より広い関節症状の定義を使った最大規模の集団を除くと、推定値は2.61%でした。

この約3%という推定は、各研究で異なる追跡期間中に新たに発症した患者の割合です。発症者のうち再発する割合を示す約20〜50%とは、対象となる患者と数えている事象が異なります。レビューは、研究間で定義や追跡条件をそろえた今後の調査が必要としています。