
イッセイ ミヤケとワコールは、立体メルトブロー技術「Melooop(メループ)」を使ったプロジェクト「COCOON BODY(コクーン ボディ)」を、2027年春夏パリ・ファッションウィークで発表しました。型紙や縫製を起点とせず、胴体の型に繊維を吹き付けて衣服の形をつくる試みです。
体の型から衣服を成形
ワコール人間科学研究開発センターが開発したメループは、繊維を型に吹き付けて立体物をつくる技術です。今回のプロジェクトでは、ロボットアームに胴体の型を取り付け、繊維を吹き付けながら立体的に成形しました。
従来のアパレル生産で使われる型紙や縫製を使わず、体そのものから衣服の形を生み出します。ワコールがインナーウェア製造で培った技術をファッションに応用しました。
完成した衣服は彫刻のような外観で、着用時には体の動きに合わせてしなやかに変化するとされています。両社は現地時間2026年10月2日に発表しました。
メルトブロー技術の仕組み
メルトブロー法は、熱で溶かした樹脂をノズルから押し出し、高速の熱風で伸ばして極細繊維にする方法です。繊維同士が熱で融着するため、接着剤を使わずに不織布をつくれます。
メループでは、型に対するロボットの動きを調整し、繊維を吹き付ける距離や場所、時間を変えます。ワコールは、これにより形や厚み、硬さ、伸びやすさを調整できると説明しています。
メループは2020年からブラジャーのカップ部分の生産に使われています。今回のプロジェクトでは、インナーウェアで使われてきた立体成形を衣服に応用しました。
従来の成形方法との違い
ワコールによると、ブラジャーのカップは主に、生地を裁断・縫製する方法と、金型で熱プレスするモールド成型で生産されてきました。ワコールは、前者は縫製担当者の熟練度に左右され、後者は廃棄材料が多いという課題があったとしています。
メループは型に繊維を吹き付けて立体にするため、COCOON BODYでは型紙や縫製を使わない制作工程を採用しました。
メループでは、成形後に切り取った不要部分を再び原料に戻せるとワコールは説明しています。単一素材で製作できることや、3Dプリンターでつくった型を使えることも同社が挙げる特徴で、小ロット生産に適するとしています。
両社の協業と技術の展開
イッセイ ミヤケは身体と布を起点とする創作を追求し、ワコールは人のからだを研究してきました。両社には、1977年にスポーツカジュアルブランド「HAI SPORTING GEAR」を立ち上げた協業の歴史があります。
ワコールは2024年、経済産業省の「みらいのファッション人材育成プログラム」に参加し、メループのインナーウェア以外への活用を検討しました。その取り組みをきっかけに、ファッションブランド「doublet」とポーチやバッグを制作し、2025年秋冬パリ・ファッションウィークで発表しています。
ワコールは今後、ファッション分野以外でのメループ活用も視野に入れ、技術開発を続ける方針です。











