2024 Toyota GR Yaris Rally 1 Evans
写真: TTTNIS / CC0 / Wikimedia Commons

エルフィン・エバンス選手とスコット・マーティン選手が、2026年のWRC(世界ラリー選手権)でそれぞれドライバーズ、コ・ドライバーズの初タイトルを獲得しました。トヨタの豊田章男会長は両選手を祝福し、現行のGRヤリス ラリー1が役目を終えることと、来季に向けた「次のクルマたち」の準備に言及しました。2027年に導入される新規定では、市販車を基にした外観に加え、ラリー専用の車体デザインも認められます。

最終ステージまで続いた初タイトル争い

10月4日、シーズン最終戦となる第13戦ラリー・イタリア サルディニアの最終日が行われました。トヨタの世界ラリー選手権チーム、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は、前戦でランチアに並ぶ10度目のマニュファクチャラーズタイトルを決めていましたが、ドライバーとコ・ドライバーの年間王座はチーム内で争われていました。

最終ステージ直前には、エバンス/マーティン組とオリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン組が1ポイント差で競っていました。先に走ったエバンス組のタイムをソルベルグ組が上回れば、ソルベルグ組がタイトルを獲得する状況でした。ソルベルグ組は終盤まで速いペースを保っていたものの、ゴール直前のS字区間でコースを外れ、復帰後もエバンス組のタイムに届かずに終わっています。

エバンス選手はウェールズ出身者として初めて世界王者となり、コリン・マクレー選手、リチャード・バーンズ選手に続く3人目のイギリス人ドライバー王者になりました。マーティン選手もイングランド出身者として初めてコ・ドライバーズタイトルを獲得し、イギリス人としては5人目の同部門の王者となりました。

一方、最終戦はソルベルグ組が優勝しました。これによりGRヤリス ラリー1はシーズン13戦で12勝を挙げ、シーズン最多勝記録に並ぶとともに、通算48勝目を記録しました。2027年から新規定へ移行するため、同車にとって最後の勝利です。

豊田会長が感謝した年間2位の積み重ね

豊田会長は、エバンス選手が2020年のチーム加入以降、年間ランキング2位を計5回、2023年からは3年連続で記録していたことを振り返りました。安定して獲得したポイントがチームのマニュファクチャラーズタイトル継続を支えたとして、エバンス選手とマーティン選手に感謝を伝えました。

豊田会長はポイント以外の貢献として、2021年の最終戦にも触れました。エバンス組はコースを外れた後、滑りやすい場所をチームメンバーに伝え、豊田会長はその情報がセバスチャン・オジエ選手のタイトル獲得につながったと述べました。今回の王座決定の場には、日程の都合で立ち会えなかったことも明かしています。

エバンス選手は、最終日にパンクがあり、最後のステージでも十分な速さを出せなかったと振り返りました。そのうえで、タイトルは最後のステージだけで得たものではなく、シーズンを通じた努力の結果だと述べ、マーティン選手とチームへの感謝を示しました。

「次のクルマたち」と2027年の車体設計

豊田会長は、GRヤリス ラリー1が2022年から5シーズンにわたりタイトルを獲得し続けたことを挙げ、開発を担ったチームに謝意を示しました。続けて「次のクルマたち」の準備に触れ、新たな挑戦に取り組むチームへ言葉を送りました。トヨタは次期車両やチーム体制をまだ公表していません。

来季から適用される車両規定は、国際自動車連盟(FIA)が2027年から導入する「WRC27」です。FIAは、現行ラリー1の乗員保護構造を発展させた共通設計を採用し、その周囲に異なる形状の車体を組み合わせられる枠組みを示しています。想定される外観には、ハッチバック、セダン、SUVに加え、ラリー専用のコンセプトデザインも含まれます。

FIAが2025年に示したWRC27の設計では、現行の市販車モデルを基にすることを必須とせず、すべての外装パネルを規定の空間内に収める方式を採用しています。車体の寸法は全長4,100〜4,300mm、全幅1,875mm以下、ホイールベース2,600mm以上、全高1,270mm以上と定められ、その範囲内でさまざまなデザインを開発できます。

参戦費用の抑制と2年間の移行措置

トヨタも移行するWRC27では、FIAは費用を抑え、メーカー以外のチームも参加しやすくすることを目標にしています。車両費用の上限は34万5,000ユーロで、従来の規定に比べ50%を超える削減を掲げています。部品ごとの費用指定や耐久性の改善に加え、人員、輸送、現地施設の活用、遠隔での技術支援を通じた運営費の削減も目標です。

参加主体についても、自動車メーカーと車両を開発するチューナーを「コンストラクター」という共通の区分で扱います。コンストラクターは車両の設計・製造、FIAへの認証申請、車両や関連部品の販売を担う存在として定義されています。

FIAはさらに、新規定の導入初期に最上位カテゴリーの参加車両を増やすため、下位区分のラリー2車両に取り付ける「Rally2-WRC-Kit」を承認しました。2026年12月31日までに認証されたラリー2車両が対象で、キットを装着した車両は2027年と2028年に限り、WRC27車両とともに最上位カテゴリーへ参戦できます。

キットは新たに認証されるフロントフェンダー、フロントバンパー、後部の空力装置で構成され、費用の上限は7,500ユーロです。認証を行えるのはWRCにコンストラクターとして登録したメーカーで、認証初年度は全ラリーに最低2台で参加する条件があります。この移行措置による最上位カテゴリーへの参戦資格は、2028年12月31日に終了します。