エンテグラの電動キャンピングカー「Embark」、発電用エンジンで航続距離を延長
出典: ir.thorindustries.com

電動モーターで走り、エンジンで発電する

エンテグラ・コーチの大型キャンピングカー「Embark」は、電動モーターで車輪を駆動し、ガソリンエンジンを発電機として使うレンジエクステンダー式の車両です。140kWhのバッテリーを搭載し、電気だけで走れる距離は約100〜110マイル(約161〜177km)です。

レンジエクステンダーとは、エンジンで発電してバッテリーに電力を補い、電動走行の距離を延ばす仕組みです。Embarkのエンジンは車輪を直接駆動せず、発電した電力をバッテリーに送ります。

バッテリーはキャンプ場の電源や自宅から充電でき、対応する直流急速充電器も利用できます。発電用エンジンを使う方法もあり、移動中の駆動と停車中に使う電力を一つのバッテリーでまかなう構成です。

走行用の電力を停車中の生活にも使う

Embarkは、走行時に使う140kWhのバッテリーを、停車中には居住空間の電源としても使います。エアコンやテレビ、キッチン家電などに電力を供給でき、キャンプ場でエンジンを作動させる「Camp Mode」も備えます。

車体は全長約9.4mで、最大4人が就寝できます。レイアウトは29V1の1種類で、後部収納、ベッド下の収納、折りたたみ式のダイネットを備えます。

発電用エンジンを動かさずに過ごせる時間や、家電の使用量は利用状況によって変わります。キャンプ場の電源につなぐ方法も用意されており、車載電力の補給手段は複数あります。

燃費の比較と試験走行

Embarkの開発を担うジェイコーの電動部門責任者ミッチ・ジョンソンは、試作車での長距離走行で平均約16マイル/ガロン(約14.7L/100km)だったと述べています。

比較の参考となる従来型Class A車について、RVを扱うトム・モートンとケイトリン・モートンは、自ら所有する全長約13.7m、排気量約14Lのディーゼル車で平均約7.5マイル/ガロン(約31.4L/100km)としています。走行条件によって燃費は変わるとも記しています。

この比較は、Embarkの試作車での長距離走行と、別の大型ディーゼル車の実走行例です。Embarkの燃費は、エンジンが走行用の発電にも関わる車両での結果として示されています。

量産前にレンタル利用者の声を反映

ジェイコーは試作車を開発チームなどのキャンプ旅行に使い、ロサンゼルスのレンタル事業者THLにも車両を提供しています。利用時の充電頻度や残量、充電にかかる時間などをテレマティクスで記録し、車両設計や操作画面の調整に活用しています。

エンテグラはEmbarkを「現在、小売向け生産は行っていない」と案内しています。 一方、2025年9月のTHOR Industriesの発表では、THLでのレンタルを2026年に始め、利用者の反応を製品改良に生かす計画が示されました。

車内には運転席向けの操作画面があり、車両の状態や電力の使い方を利用者が把握できるよう調整が続いています。キャンプ場の電源がない場所で過ごす場合も想定し、走行距離と停車中の電力をどう管理するかが、開発時の確認項目になっています。