FDA、慢性B型肝炎治療薬「Hibsago」を承認 対象患者の一部で治療終了後もウイルス制御
出典: fda.gov

米食品医薬品局(FDA)は10月20日、慢性B型肝炎の治療薬「Hibsago(一般名ベピロビルセン)」を承認しました。既存薬を含む治療を終えた後もウイルスを制御できる患者がいる一方、対象は条件を満たす成人に限られ、肝臓や血小板に関わる重大なリスクへの監視も必要です。

承認された治療と対象患者

Hibsagoは、B型肝炎ウイルス(HBV)に対する既存の抗ウイルス薬と併用する注射薬です。肝硬変がなく、既存薬を少なくとも6カ月使用し、血中のHBV DNAが抑制され、HBV表面抗原(HBsAg)が1ミリリットル当たり3,000国際単位以下の成人が対象です。対象の選定にはFDA認可の検査が使われます。

FDAはHibsagoを、慢性B型肝炎に対する初のアンチセンスオリゴヌクレオチドとして承認しました。これは、遺伝情報をもとに特定のRNAに働きかける薬の一種です。ベピロビルセンはHBVのRNAを標的とし、ウイルス由来のRNAやタンパク質の産生を減らします。ウイルス表面抗原も低下させ、免疫系がウイルスを制御できる状態につながる可能性があります。

慢性B型肝炎はHBVによる長期的な肝臓の感染症で、進行すると肝硬変などの重い肝疾患や肝がんのリスクが高まります。従来の核酸アナログ製剤はウイルスの増殖を抑えますが、肝細胞内に残るウイルスの遺伝情報などには直接作用しません。核酸アナログ中止後の安全性を扱ったレビューによると、治療を中断するとウイルス増殖が再開することがほとんどです。

臨床試験で見られた治療終了後の制御

FDAの承認は、Hibsagoとプラセボ(有効成分を含まない対照薬)を比較した2件の臨床試験に基づきます。Hibsagoは最長24週間、皮下注射で投与され、患者は既存の抗ウイルス薬も併用します。注射終了後も既存薬を少なくとも24週間続け、その後、健康状態や検査結果が所定の条件を満たせば中止できる場合があります。

2試験を合わせると、既存薬の中止条件を満たした人はHibsago群の24%で、プラセボ群ではいませんでした。すべてのB型肝炎治療を終えて24週間後もウイルスが抑制され、血中でHBsAgが検出されなかった人は、Hibsago群の19%でした。機能的治癒とは、治療終了から少なくとも24週間、HBV DNAとHBsAgが検出されない状態を指します。

試験の統合解析では、HBsAgが1ミリリットル当たり1,000国際単位以下の参加者に限ると、機能的治癒に達した割合は26%でした。該当するのはこの群の768人中200人で、プラセボ群では393人中0人でした。この結果は試験参加者のうち基準を満たした集団での割合であり、承認対象者全員に同じ効果が得られることを示すものではありません。

中止後の治療と従来薬との違い

核酸アナログ製剤による治療は、HBV DNAを抑え、肝臓の炎症や線維化を改善する一方、HBsAgを消失させる効果は限られます。核酸アナログの中止後にはウイルスが再活性化し、急性の肝炎増悪につながる場合があります。そのため、治療を終える際は、中止後の経過観察と再燃リスクへの対応が課題となります。

Hibsagoの試験では、注射終了時に既存薬も中止する設計ではありません。まず既存薬を24週間以上継続し、その後、一定の健康・検査条件を満たした患者だけが中止を検討できます。治療終了後にウイルス制御が続いた割合は19%で、治療を終えた全員が薬なしで制御できたわけではありません。

「機能的治癒」は、ウイルスが体内から完全に消失したことを意味する表現ではありません。ベピロビルセンの試験では、治療終了後24週間のウイルス制御が評価されました。年単位で状態が維持されるかどうかは、この評価期間とは別の問題です。FDAの承認対象も、肝硬変がなく、既存薬の使用期間や血液検査の条件を満たす成人に限定されています。

重大な副作用と今後の開発

Hibsagoには、重い肝反応と血小板減少に関する枠付き警告があります。血小板が減ると、命に関わる出血につながるおそれがあります。FDAは腎機能の悪化や、血管炎などの重い炎症反応についても警告しています。患者は治療前と治療中に定期的な血液検査を受け、医療従事者の経過観察を受ける必要があります。

よく見られた副作用には、注射部位の反応、発熱、疲労、頭痛があります。試験では注射部位の赤みや局所の痛み、一時的な肝酵素値の上昇も多く報告されました。また、治療開始時のHBsAg値が低い参加者ほど機能的治癒に達する割合が高く、1,000国際単位以下の群では26%でした。

GSKは米国以外の地域でもベピロビルセンの承認申請を進めており、今後数カ月に主要な規制判断が見込まれるとしています。FDA承認後も、適応条件に合う患者の選定、治療中の検査、注射終了後の既存薬の継続が診療手順に含まれます。