
コンゴ民主共和国で続くエボラ流行では、新規感染に占める北キブ州の割合が約40%に達しました。感染者の追跡や治療施設の不足に加え、地域住民の不信感や埋葬をめぐる問題が対応を難しくしています。

北キブ州で新規感染が増加
今回の流行では、コンゴで8,500人を超える感染が記録されています。国内で死者が最も多く、記録上最速で拡大するエボラ流行です。北キブ州の新規確定例の割合は、8月末の24%から約40%に上昇しました。

アフリカ疾病予防管理センター(Africa CDC)のジャン・カセヤ事務局長によると、新規感染の70%超は既知の接触者以外から発生し、死亡者の少なくとも60%は治療施設の外で亡くなっています。追跡対象と見込まれる接触者のうち、追跡できたのは23%にとどまります。
北キブ州では、34の保健区域のうち17区域に感染が広がり、州の致死率は58%です。世界保健機関(WHO)は、治療施設の多くで医療従事者や物資が不足し、患者の死亡増加につながっているとしています。
流行株はブンディブギョ種
今回の流行を引き起こしているのは、エボラウイルスの一種であるブンディブギョウイルスです。別の種であるザイールエボラウイルスと同様、人から人への感染が記録されています。
ブンディブギョウイルスの自然宿主は、オオコウモリ科の果実食コウモリと疑われていますが、確定はしていません。ウイルスは2007年にウガンダで初めて確認され、2012年にはコンゴ民主共和国でも流行しました。
感染は、患者や死亡者の血液、分泌物、身体に直接触れることで起こり、空気を介して広がるものではありません。感染から症状が出るまでの期間は2〜21日で、平均は8〜10日とされています。
ワクチンと治療薬の対象に違い
ブンディブギョウイルスを対象とする承認済みワクチンはありません。ザイール種向けに承認されたエルベボは、ブンディブギョ種に対する有効性が不明で、同種への使用は研究目的に限られるとWHOが説明しています。
ザイール種向けには、FDA承認のモノクローナル抗体薬が2種類ありますが、ブンディブギョ種を対象とする承認済み治療薬はありません。
ブンディブギョ種の患者には、補液や電解質の管理、併発感染症への対応などを含む支持療法が行われます。支持療法はエボラウイルスの種を問わず用いられ、同種を対象にした複数の治療候補も臨床試験で評価されています。
地域の協力と埋葬対応
感染が広がる地域では、経済活動や紛争による住民の移動が多く、政府への不信感やウイルスに関する誤情報もあります。Africa CDCのカセヤ事務局長は、村や地域リーダーが接触者追跡、患者の隔離、埋葬に直接関わる対応を求めています。
エボラで亡くなった人の遺体は感染性が高く、遺体に触れる葬送は感染につながるおそれがあります。安全で尊厳ある埋葬では、訓練を受けた担当者が防護具を着用して遺体を扱い、家族が身体に触れずに見守るなど、感染予防と文化的な配慮を両立させます。
西アフリカの2014〜2016年の流行では、危険な埋葬に関連した感染が全体の20〜30%と推計された調査があります。地域の人々や家族が埋葬対応を受け入れられるよう、家族の希望や宗教的な慣習に配慮することも、安全な埋葬の一部とされています。
一方、北キブ州では住民が病気の存在を信じられず、家族が死亡を届け出なかったり、検体採取を拒んだりする例が報告されています。遺体を速やかに埋葬したいという希望もあり、こうした状況が新たな感染の連鎖を生むおそれがあります。











