
ナミビア北部のエトーシャ・パンを、欧州の地球観測衛星「Sentinel-2」が宇宙から撮影しました。画像では、実際には白く見える塩原が青系、周辺の植生が赤系に表現されています。偽色を使うことで、地上では見分けにくい土地の特徴を捉えられます。
Sentinel-2が捉えた塩原と周辺の水域
画像は2026年4月5日に取得されました。Sentinel-2は同じ軌道を飛ぶ2基の衛星からなり、搭載するマルチスペクトル撮像装置で地表を複数の波長帯から観測します。
エトーシャ・パンはナミビア最大の塩原で、東西におよそ130キロメートル広がります。人の目には明るい白色に見えますが、画像では塩の広がりが白から青、周囲の地表が赤などに分かれています。
青系の色にも違いがあります。塩原内の水は、濁った堆積物を含む場所で明るい青、より澄んだ場所で濃い青に見えます。塩原の北西に点在する小さな塩湖にも水が残り、緑や青の色合いで表されています。
偽色が植生や水の違いを映す
偽色画像は、目に見える色だけで地表を表すのではなく、赤外線など人の目には見えない波長を色に割り当てて作ります。Sentinel-2の一般的な偽色合成の一つでは、近赤外線・赤・緑の各帯域を赤・緑・青の表示色に割り当てます。
この合成では、植物が近赤外線を強く反射する性質を利用します。植生のある場所は赤く表示され、植生が密な場所ほど暗い赤になる傾向があります。水域は青または黒に見えるため、周囲の陸地と区別する手掛かりになります。
今回の画像では、Sentinel-2の近赤外線帯を使った表示によって、草原やサバンナ、モパネ林が赤く表現されています。ESAによると、モパネの木々は公園の東部と中央部に多く、画像では濃く鮮やかな赤に見えます。こうした色は地上での見た目を再現したものではなく、波長の違いを読み取りやすくした表現です。
塩原を囲む植生と動物の生息地
塩原の周辺には草原、サバンナ、モパネ林が広がります。ESAは、モパネの木々がゾウ、キリン、ヒョウの生息地になっていると説明しています。画像の赤色は、こうした植生が広がる場所を地形とともに捉える手掛かりになります。
エトーシャ・パンは、雨季に一部が水で覆われることがあります。UNESCOの暫定リストに記載された説明では、雨の多い年には浅い湖となり、フラミンゴなどの水鳥が集まって繁殖する場合があります。塩原の水位や周囲の植生は、季節や降水の状況とともに変化します。
一方、塩原の縁には草や低木が育ち、周囲の草原には大型の草食動物や捕食者が生息します。UNESCOの説明では、塩原の周辺にある自然の泉が動物の水場となり、周囲の植生とともに生態系を支えています。衛星画像は、塩原だけでなく、その周囲に続く環境も一枚に収めています。
古い湖の跡として残る地形
UNESCOの説明によると、エトーシャ・パンはかつて内陸湖だった地域の名残です。地殻の隆起によって川の流路が変わり、湖への水の供給が途絶えました。その後、風が堆積物を削り、塩分を含む粘土質の平坦な地表が残りました。
現在の塩原は、雨季に時折水をたたえる一方、通常は乾燥した塩分の多い土地です。雨の多い年には周辺の河川から水が流れ込み、浅い湖になることがあります。こうした水の出入りが、塩原の景観と水鳥の生息環境に関わっています。
4月5日の画像は乾季の始まりに取得されました。この時期の平均日中気温は通常14〜30度で、周囲にはまだ水が残る小規模な塩湖もあります。Sentinel-2は13の波長帯を捉え、近赤外線や短波赤外線も観測します。異なる波長の情報を色に置き換えることで、白く見える塩原、残った水、周囲の植生を同じ画像上で見分けられます。











