フランス、制裁対象の疑いがあるタンカーを拿捕しレユニオンへ移送
出典: home.treasury.gov

フランス軍は10月13日、ロシアの「影の船団」に関与した疑いがあるタンカー「DF Peak」を拿捕し、インド洋の仏領レユニオン島へ移送しました。船籍への疑義を調べるための措置で、ロシア側は「海賊行為」と反発しています。

DF Peakの拿捕と移送

DF Peakはベナン船籍で、以前は「Kaliningrad」の船名で運航していました。フランス軍報道官のザビエ・リバル大佐は、船が掲げる船籍に疑いがあったため検査を行い、疑義が残ったことから検察官の決定でレユニオンへ向かわせたと説明しました。

エマニュエル・マクロン大統領は、レユニオンの南方約450海里で軍がヘリコプターから乗り込み、船を拿捕する様子を公開しました。フランスは、偽の船籍を使っている疑いと、違法な燃料輸送への関与を理由に挙げています。

船は一部積載した状態で、10月12日午前4時29分(GMT)にマダガスカル沖で確認されていました。船舶追跡データでは、直前の寄港地はベネズエラのグアンタとされています。

制裁対象船をめぐる動き

DF Peakは2024年に米国、英国、欧州連合(EU)の制裁対象となりました。フランスが2024年以降に拿捕したロシア関連タンカーとしては、少なくとも5隻目です。

船舶データベースに香港拠点の管理会社として記載されたZheng Xin Marineには、コメントを求める連絡が取れませんでした。ロシア大使館は、乗組員にロシア国民がいるか確認中であり、フランスから拿捕の通知を受けていないと述べています。

フランス軍は船をレユニオンへ移送し、船籍などを詳しく調べる方針です。マクロン大統領は、世界のどこであっても影の船団に対処すると表明しました。

原油価格上限と船舶サービス

G7などの有志国は、ロシア産原油の販売価格を制限する制度を設けています。米財務省によると、制度では、連合参加国の事業者が輸送、保険などのサービスを提供できる条件を、原油が上限価格以下で販売されることと結び付けています。

米財務省は、価格上限の狙いをロシアの収入を抑えながら世界市場への原油供給を保つことだと説明しています。同省によれば、制度導入後の2023年最初の9カ月はロシアの石油税収が前年同期より40%超減少し、世界のエネルギー供給は安定していました。

一方、米財務省は2023年夏から秋にかけ、ロシアが不透明な所有構造を持つ船舶や保険会社などを含む輸送網を整え、価格上限の適用外で原油を販売する動きがあったと述べています。これを受け、米国などは2023年10月以降、連合参加国のサービスを使う取引の監視を強めるとともに、影の船団を通じた輸出のコストを高める措置を進めました。

船籍や所有関係を隠す手法

影の船団の運航には便宜置籍や複雑な所有・管理構造が使われ、貨物の出所を隠す手段として船舶間の積み替えや位置情報の偽装などが挙げられます。欧州議会調査局は2024年の報告で、船団を構成する船舶には老朽化し、規制への配慮が乏しいものが含まれるとも指摘しました。

米財務省は、ロシアが制裁を回避するため、船舶に加えて保険会社などを含む輸送基盤を整備したと説明しています。2023年後半にはロシア産原油の市場価格に対する値引き幅が縮小し、同省は連合の執行強化策を始めたとしています。

米財務省が2024年2月に示した数値では、ロシア産原油の値引き幅は2023年10月の1バレル当たり12〜13ドルから、2024年1月には約20ドルへ拡大し、2月下旬には約19ドルでした。同省は、価格上限の執行強化と船舶所有者、運送会社、仲介業者への制裁指定を進めたと説明しています。

フランスとロシアの主張

ロシア大使館は国営RIA通信に対し、DF Peakの拿捕は「海賊行為」で、国際法に明白に違反すると述べました。また、乗組員にロシア国民がいるかを調べているとしています。