
ロシアのプーチン大統領は10月28日、イーロン・マスク氏を「本物の天才」と評し、衛星の調整をめぐって米国側と連絡を取っていると述べました。ウクライナでのStarlink(スペースXの衛星インターネット網)利用制限をめぐり、マスク氏や米政府の関与が議論されるなか、軌道上の安全確保と通信サービスの運用判断が別の論点になっています。
プーチン氏が語った衛星運用の連絡
プーチン氏は、軌道上では互いに干渉しないことが重要だとして、「一定の規律と秩序」を守るため、マスク氏を含む米国側と緊密に連絡を取っていると述べました。
同氏は、ロシアが衛星関連の取り組みを始めた段階にあり、独自に進めていることを誇りに思うとも語りました。プーチン氏は、政治的な問題があるなかでも衛星運用の調整を続けているとの考えを示しました。
プーチン氏がマスク氏を称賛したのは今回が初めてではありません。2023年には「傑出した人物」「才能ある実業家」と評しており、2024年にはマスク氏が2022年末以降プーチン氏と定期的に連絡を取っていたとする報道がありました。マスク氏はその報道を批判しましたが、連絡を取ったとの主張自体は否定しませんでした。
軌道上の調整に必要な情報
衛星同士の接近を把握して衝突リスクを評価するには、軌道上の位置情報に加え、衛星が予定する軌道変更も関係します。NASAは2026年の追跡技術に関する説明で、事業者が位置や速度、軌道変更、誤差の情報を標準化された形式で共有する方法を挙げています。
NASAは、接近評価を行う機関に、衛星の将来位置を予測した軌道情報を定期的に送る必要があるとしています。低軌道の衛星では少なくとも1日1回、近地点が高度500キロ未満の軌道では1日3回の提供例を示し、軌道変更の予定も予測に反映するよう説明しています。
米国は2018年の宇宙交通管理政策で、宇宙状況認識を宇宙物体とその運用環境の把握、宇宙交通管理を軌道上の活動の計画・調整と定義しました。また、国際的な透明性やデータ共有を促し、接近の可能性を知らせる仕組みを含む安全基準や行動規範を掲げました。
Starlinkの利用制限をめぐる主張
ウクライナでのStarlinkとStarshield(政府向けの衛星通信サービス)の利用制限について、マスク氏は10月24日、ウクライナ軍がStarlinkの利用規約に違反して攻撃用ドローンに使ったため、スペースXが高速通信へのアクセスを制限したと主張しました。
ウクライナ国防省は同日、時速400キロを超えて移動する機器でも両サービスの接続速度が回復したと発表しました。ウクライナ側は、それ以前の制限がドローン運用などに影響したと説明しています。
一方、ウクライナの当局者らは、商用Starlinkを攻撃用ドローンに使ったとのマスク氏の主張を否定しました。ウクライナ側は、移動中に衛星通信を使う端末は登録制で、ドローン任務に必要な通信はStarshieldを通じて行われていたと説明しています。
サービス運用の権限をめぐる食い違い
マスク氏は、Starlinkは民間向けの商用サービスで、攻撃的な軍事行動には使えないと述べました。また、Starshieldは米政府が所有・管理し、速度や利用の制限は米軍、最終的には大統領が決めるとの見解を示しています。
制限を誰が決めたのかについて、関係者の説明は一致していません。ドナルド・トランプ大統領は制限を決めたことを否定しました。一方、CNBCは、トランプ氏がマスク氏に制限緩和を求めたとする報道を確認したと伝えました。マスク氏も当初、制限に米政府が関与したと投稿した後、ウクライナの規約違反を理由に挙げています。










