Danill Medvedev Miami 2019 (cropped)
写真: LacosteWiki / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

男子テニスのダニール・メドベージェフが、北京で行われた中国オープンの準決勝で打ったボールを観客の顔に当て、即時失格となりました。大会で獲得したポイントと賞金を失い、対戦相手のノバク・ジョコビッチが決勝に進みます。メドベージェフは事故だったと説明していますが、男子プロテニスを統括するATPの規則は、危険または無謀なボールの扱いを禁止しています。

第2セット終盤に打った球が客席へ

第3シードのメドベージェフは、ジョコビッチに第1セットを5―7で取られ、第2セットも3―5とリードされていました。ジョコビッチが決めたショットでゲーム内の得点が15―15になった後、メドベージェフがコート後方から跳ね返ってきたボールをバックハンドで打つと、ボールは後方の客席へ飛び、最前列に座っていた観客の顔に当たりました。

観客は顔を押さえて前かがみになり、会場から退出する際も目を押さえていました。メドベージェフは主審のモハメド・ラヒアニ氏とATPの担当者との協議を経て、ネットに歩み寄り、ジョコビッチと握手しました。

ジョコビッチは試合後、観客が重いけがをしていないことを願うとともに、メドベージェフにも同情を示しました。自身も2020年の全米オープンで同様の出来事によって失格となった経験があり、大きな試合で失格になる気持ちは分かると述べています。

危険な打球は1回の違反でも即時失格の対象

ATPの行動規範にある「ボール・アビューズ」は、ポイントを取るための合理的なプレーを除き、ボールを激しく、危険に、または怒りに任せて打つ行為を禁じています。定義には、故意または無謀にコートの囲いの外へ打ち出すこと、コート内で危険または無謀に打つこと、結果を顧みずに打つことが含まれます。

この規定は、相手を負傷させる意図を違反の条件にしていません。メドベージェフは試合後に謝罪し、跳ね返ってきたボールを処理しようとした際の事故だったと説明しましたが、担当者は観客に当たった打球を危険な行為と判断しました。

通常の行動規範違反には、警告、ポイントのペナルティー、ゲームのペナルティーという段階があります。一方、ATPの規則は大会のスーパーバイザーに対し、1回の違反でも選手を即時失格にできる権限を認めており、今回はこの規則が適用されました。

失う大会ポイントと年間成績への影響

メドベージェフは準決勝進出で得ていた200ポイントを失います。ATPのランキングは、原則として過去52週間の算入対象となる大会成績を合計する仕組みです。今回失う200ポイントは、中国オープンの成績としてランキングに加えるはずだったポイントに当たります。

年末の大会であるATPファイナルズへの出場を争う「ATPレース」は、過去52週間のランキングとは別に、そのシーズンの対象成績を集計します。中国オープンで得るはずだったポイントを失うことは、この出場争いでもメドベージェフの成績に影響します。通常の世界ランキングとATPレースでは集計期間が異なるため、両者の順位は同じとは限りません。

ジョコビッチは大会33戦全勝で決勝へ

ジョコビッチは中国オープンでの通算成績を33勝0敗とし、火曜日の決勝でアレックス・デミノーと対戦します。同大会では過去に6度優勝しています。今回は、カルロス・アルカラスに敗れた全豪オープン以来の決勝進出です。

準決勝では79分に及ぶ第1セットを取り、試合を通じて相手に与えた18回のブレークポイントのうち16回をしのぎました。ブレークポイントは、相手が次の1ポイントを取ればサーブ側のゲームを奪える場面を指します。ジョコビッチは2006年から毎年少なくとも1つのタイトルを獲得しており、決勝ではその記録の継続がかかります。