iPhone 17 Pro shows the Lock Screen in iOS 26.
出典: apple.com

映画向けの画像処理を写真アプリに

『ナイブズ・アウト』や『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』を監督したライアン・ジョンソン氏が、iPhone向けカメラアプリ「Chromagraph Camera」を公開しました。撮影時にiPhone標準の画像処理を経由せず、ジョンソン氏の映画で使われている独自の処理を写真に適用します。

アプリは、ジョンソン氏と長年組んできた撮影監督のスティーブ・イェドリン氏、プログラマーのエリック・キャメロン氏が共同で開発しました。イェドリン氏はジョンソン氏の長編映画を『Brick』以降すべて撮影しており、映画制作で培った色や階調の処理をアプリに取り入れています。

Chromagraph CameraはRAW画像データから処理を始め、色、階調、粒子感、光のにじみ方を独自に調整します。撮影後に色や階調、テクスチャを手動で調整する機能もあり、決められた見た目をそのまま使うだけではありません。

標準処理やApple ProRAWとの違い

iPhoneの標準カメラが作るHEICやJPEGは、複数の撮影フレームを合成し、Smart HDR、Deep Fusion、ナイトモードなどの処理を加えて表示用の画像にします。こうした画像は表示しやすくファイルサイズも小さい一方、RAWには編集の余地がより多く残ります。

Apple ProRAWは、RAWの編集しやすさと計算写真の処理を組み合わせた形式です。複数の露出を合成する場合があり、12ビットのRGBデータを可逆圧縮し、最大14段のダイナミックレンジを得られます。

一般的なRAWは、撮像素子の情報をもとに、撮影時の画像処理の影響を抑えて記録する形式です。一方、ProRAWにはAppleの画像処理による情報も含まれ、Chromagraph Cameraは標準の画像処理を省いてから独自の処理を行います。つまり、アプリが掲げる「バイパス」は、RAWデータをそのまま無加工で保存することではなく、iPhone標準の仕上げに代えて別の画像処理を適用することを指します。

撮影後の確認と書き出し

撮影時はファインダーを通して構図を決め、Chromagraphの仕上がりは撮影後にギャラリーで確認する仕組みです。アプリ内には元のRAWファイルを保存し、調整を加えた画像を表示できます。

仕上がりを共有する場合は、容量を抑えた画像として書き出したり、写真ライブラリへ保存したりできます。設定で自動書き出しを有効にすると、撮影した写真をJPEGまたはHEIC形式で写真ライブラリへ送れます。

現時点で撮影できるのは静止画です。ジョンソン氏は動画への対応を将来の可能性として挙げていますが、実現する場合も比較的新しいiPhoneに限られる見込みだと述べています。

価格と対応機器、使い勝手

Chromagraph Cameraの価格は12.99ドル(約2,100円)で、買い切りです。アプリはAppleの機器向けに提供されており、ジョンソン氏はApple製品間のハードウェアの一貫性が、処理を調整するうえで役立つと説明しています。

Android端末は機種ごとの差が大きく、小規模な開発チームでは各端末向けに調整しきれないとして、ジョンソン氏はApple製品以外への対応に消極的な考えを示しました。アプリの対応機器として、App StoreにはiPhone、iPad、Apple Watchが記載されています。

レビューでは、アプリの映画的な色調は好みによって評価が分かれうるとしています。また、基本的には撮って確認する使い方ができる一方、写真の編集操作はApple純正の写真アプリなどより直感的ではないと評しました。より多くの操作を求める場合にはHalideを推奨しています。