
UltraFanは2種類の推力クラスで開発
ロールス・ロイスは次世代航空機向けエンジン技術「UltraFan」を、広胴機向けのUltraFan 80と単通路機向けのUltraFan 30に展開しています。80型は実証機の試験段階にあり、30型は概念設計を経て、2028年の地上試験を目指す計画です。
80型のファン直径は3.56メートルです。推力は約356キロニュートンを目標とし、30型は約133キロニュートンを想定しています。
UltraFanは、1つの技術群を異なる規模のエンジンに適用する設計です。ロールス・ロイスは、両型を将来の広胴機と単通路機向けダクト付きエンジンの実証機と位置付けています。
ギアボックスと複合材で効率を狙う
UltraFanは、ファンと低圧タービンの回転速度をギアボックスで調整する構造です。タービンは高速で回しながら、前方の大きなファンは低速で回転させます。これにより高いバイパス比を実現し、推進効率を高める設計です。
80型のパワーギアボックスは、実証機で50メガワットの出力を担い、試験では64メガワットに達しました。惑星歯車式のギアボックスにより、エンジン中心部とファンを異なる速度で動かします。
ファンには炭素複合材とチタンを組み合わせたブレードを採用し、チタン製の前縁と複合材製のケースを備えます。ファンシステムを軽量化して燃料消費を減らす設計です。ロールス・ロイスは窒素酸化物排出を40%改善し、騒音を35%低減する目標も掲げています。
80型は試験を継続、搭載機は未定
UltraFan 80は2023年に初回試験を行い、同年11月の製品相当試験では約378キロニュートンの推力を記録しました。試験後には分解検査が実施され、2機目の実証機による再試験は2026年中に予定されています。
ロールス・ロイスは、80型について初期世代のTrentエンジンより燃料効率を25%、Trent XWBより10%高めることを目標としています。市場投入は2030年代を想定し、その時期は機体メーカーの要件と市場需要によって決まるとしています。
現時点で80型の搭載機は決まっていません。エアバスはA350-1000の胴体延長型を検討していますが、その機体に80型を採用するかは明らかになっていません。次世代の新設計広胴機に向けた開発となる可能性もあります。
30型で単通路機市場への復帰を目指す
ロールス・ロイスは2011年にプラット・アンド・ホイットニーとの合弁持ち分を売却し、単通路機向けエンジン市場から撤退しました。現在はUltraFan 30を通じて、エアバスA320やボーイング737の後継となる次世代機向け市場への復帰を目指しています。
UltraFan 30は概念段階にあり、ロールス・ロイスは2028年の地上試験と、現行の運航中エンジンに対する燃料消費20%改善を目標にしています。
同社は単通路機向け事業の工業化に公的支援が必要だと主張し、英国政府に最大2億ポンド(約420億円)を求めていると報じられています。CEOのトゥファン・エルギンビルギッチ氏は、競合各社が受ける支援を引き合いに出し、複数の企業と提携を協議していると述べています。
UltraFan 30の概念設計審査は2026年7月に完了しました。同機はUltraFan 80から派生したギア付きターボファンで、次世代単通路機を対象に、CFMとプラット・アンド・ホイットニーが競う市場への参入を目指しています。









