被害者の兄の視点から家族を描く

川名壮志さん原作、棚園正一さん作画のマンガ「ひみつ―佐世保事件で妹を喪ったぼくの話―」上下巻が、10月8日に発売されました。2004年に起きた佐世保小6女児同級生殺害事件を題材に、被害者の兄の視点から、事件の前後に家族がたどった変化を描きます。

原作は、川名さんが被害者の兄と弟を描いたノンフィクション「僕とぼく 佐世保事件で妹を奪われた兄と弟」です。マンガ版は新潮社のウェブマンガサイト「コミックバンチKai」で連載されました。

事件は2004年6月、長崎県佐世保市の小学校で発生しました。小学6年生の被害者が同級生にカッターナイフで切り付けられて亡くなり、加害児童は当時11歳でした。

妹を失った兄の心の揺れ

作品では、被害者の兄・純一と妹の怜美は親しい間柄として描かれています。妹を失った家族が、その後の生活のなかで再生を模索する姿が作品の軸です。

下巻では、純一が事件前に妹から自分だけに打ち明けられた「ひみつ」が妹の死に関わっていると知り、自責の念を抱く展開が描かれます。苦しむ父を不安にさせないよう平静を装ううち、純一の心が追い詰められていく様子も紹介されています。

被害者の兄は、当時は家族を支えることに追われ、自分のことを考える余裕がなかったと振り返っています。また、子どもがつらさを一人で抱え込まないよう、共に考える大人の支援が必要だと述べています。

上下巻を同日に刊行

上下巻はいずれも新潮社のBUNCH COMICSから刊行され、紙の単行本と電子書籍が用意されています。各巻の価格は税込902円で、発売日は2026年10月8日です。

上巻はB6判、256ページで、ISBNは978-4-10-772987-3です。電子書籍も同日に配信が始まりました。

下巻もB6判、256ページで、ISBNは978-4-10-772988-0です。下巻は完結巻です。

事件後に講じられた学校の対応

事件後、学校でのスクールカウンセラーの配置が強化されました。子どもの心のケアに関わる体制の見直しとして、カウンセラー配置の強化が挙げられています。

また、インターネット上の行動をめぐるモラル教育が見直されました。事件後には校内暴力の実態調査も行われ、道徳教育の重要性が認識されました。

被害者の兄は、子どもの声に寄り添い、どう手助けするか悩む大人にとって作品がヒントになればとコメントしています。