
天王星と海王星では、大気の観測値から推定した深部の酸素量と炭素・酸素比に違いがあるとする研究が発表されました。研究チームは、この差から両惑星で形成または進化の経路が異なる可能性を示しています。
上層大気の一酸化炭素から深部を推定
天王星と海王星の深い大気に含まれる元素の量は直接測ることが難しく、形成過程の解明には大きな不確かさが残っています。研究では、上層対流圏で観測される一酸化炭素(CO)を手がかりに、深部の酸素量を推定しました。
COは深部で水と化学平衡にあります。大気が上昇して冷え、反応が遅くなると、深部の状態を反映した量が上層に保たれる「非平衡化学種」です。化学反応の時間が大気の混合時間より短い深部では平衡が保たれますが、上昇に伴って反応が追いつかなくなると、COの割合が固定されます。
研究チームは、深部の酸素量を変えたモデルで上層対流圏のCO観測値を再現できるかを調べました。大気の鉛直混合の強さを表す係数Kzzも考慮し、緯度による大気構造の違いを組み込んだモデルで、酸素量と炭素・酸素比を見積もっています。
推定された酸素量は海王星で多い
対流圏のメタン量だけを変えて計算した場合、太陽系形成時の基準値に対する酸素量は、天王星で約47〜57倍、海王星で約182〜215倍となりました。
Kzzも変動させると、推定範囲は天王星で約62〜177倍、海王星で約222〜342倍に広がりました。どちらの条件でも、天王星の酸素濃集は海王星より低い結果でした。
化学反応ネットワークの不確かさが推定酸素量に与える影響は最大約10%でした。研究チームはCOの観測誤差もあわせて検討し、その影響は海王星より天王星で大きいとしています。
炭素・酸素比にも差
深部の炭素量と推定した酸素量から算出した炭素・酸素比(C/O比)は、天王星で約0.06〜0.52、海王星で約0.02〜0.12でした。研究では、緯度による変動を含む範囲として示されています。
C/O比は、惑星に取り込まれた炭素と酸素の相対量を表す指標です。天王星の推定範囲は海王星より広く、両惑星の組成を一様に扱わず、緯度や大気混合の条件を含めて調べる必要があることを示しています。
研究チームは、得られた比率を原始惑星系円盤のモデルと比較し、天王星と海王星で形成または進化の経路が異なる可能性を示しました。この解釈は観測値とモデルに基づいており、両惑星の形成過程を直接観測した結果ではありません。
将来の探査機の観測地点選びにも関係
研究で用いた手法は、緯度による大気構造の違いと化学反応の不確かさを考慮しています。研究チームは、これらの条件が深部酸素量の推定に影響し、とくに鉛直混合の強さが重要だとしています。
天王星を周回する探査機と大気突入プローブを組み合わせる将来のミッションについて、研究チームは突入地点の緯度を選ぶための枠組みを提示しました。プローブが得る上層大気の観測値を深部の組成推定に結びつける際、測定する緯度が検討対象になります。











