詐欺事件被疑者の検挙に関するベトナムとの国際共同捜査について|警察庁Webサイト
出典: npa.go.jp

日本とベトナムの共同捜査により、日本企業を狙った銀行員なりすましの特殊詐欺に関与したグループの被疑者7人がベトナムで検挙されました。日本国内で逮捕された被疑者から得た情報が、ベトナム側への提供につながりました。詐欺で得た資金は暗号資産を使って移されており、捜査は両国にまたがっています。

日本での逮捕情報からベトナム側の検挙へ

日本では、銀行をかたるボイスフィッシング事件の被疑者が逮捕されました。ボイスフィッシングは、金融機関の職員などを装って電話し、口座情報を盗んで不正送金につなげる手口です。

関係証拠品を精査したところ、ベトナム人によるマネーロンダリングや詐欺電話に関わるグループの首魁とみられる人物とのやり取りが確認されました。日本側がこの情報をベトナムに提供し、現地で被疑者7人の検挙に至りました。

ベトナム公安省は、この摘発を国際的な資金洗浄と不法な資金移送ルートを解明する捜査の「第一段階」と位置付けています。同省は、フート省の警察などが関係機関と捜査し、7人を被疑者として起訴したと発表しました。うち3人は身柄を拘束され、4人には居住地からの離脱を禁じる措置が取られています。

15人がだまされ約7億700万円を送金

グループは2025年初頭から日本で活動し、銀行員を装った電話で国内企業を狙っていました。2025年3月10日には、日本人15人がだまされ、グループが管理する3つの法人口座へ合計約7億700万円を振り込んだとされています。

資金を受け取った側は、複数の中継口座を使い、暗号資産のUSDTやETHに換えてから、外国人グループの電子ウォレットへ送金していました。ベトナム公安省によると、取引ごとに1〜2%の利益を得ていました。

捜査では、複数の口座や暗号資産取引を介した資金の移動が確認されました。ベトナム公安省は、資金の流れを追跡し、電子的な証拠を集めるうえで、関係機関間の情報共有と日本側との連携が捜査に関わったと発表しました。

電話から偽サイトや遠隔操作へ誘導

企業を狙うボイスフィッシングでは、犯人が銀行関係者を装い、「手続きが必要」などと電話で伝え、担当者からメールアドレスを聞き出します。その後、フィッシングメールで偽サイトへ誘導し、インターネットバンキングのログイン情報を盗む手口が確認されています。

別の手口では、PC環境の更新を口実にメールアドレスと携帯電話番号を聞き、メールやSMSのリンクを開かせます。偽サイトでログイン情報を入力させる一方、セキュリティ対策ソフトを装う遠隔操作ソフトを企業端末に入れ、送金操作につなげる事例もあります。

金融機関を装う電話では、セキュリティ対策や不正利用防止を理由に操作を指示する例があります。クライアント証明書の失効操作を促す手口や、犯人側が表示した二次元コードをカメラ付きトークンで読み取らせる手口も報告されています。電話での指示を通じて口座情報や取引認証を得ようとする点は、今回の事件で使われた銀行員なりすましの手口と共通します。

ベトナムで資金洗浄などを捜査

ベトナム側の捜査では、資金洗浄の容疑で3人を起訴しました。別の4人については、国境を越えた不法な資金移送に関わったとして、居住地からの離脱を禁じる措置を取っています。関係先の捜索では、スマートフォン6台、タブレット端末1台のほか、車や預金証書、不動産の権利証などが押収されました。

ベトナム公安省は捜査を続け、事件の関係者をさらに調べる方針を示しました.