Dodo Nears Return: Colossal Biosciences’ Avian Breakthrough
出典: colossal.com

GenoMorphが約2,300の候補を特定

Colossal Biosciencesは、絶滅したドードーの特徴に関わる遺伝子編集候補を探すAIプラットフォーム「GenoMorph」を発表しました。くちばしや頭蓋骨の形に関係する調節DNAを絞り込み、実験で検証する対象として約2,300の候補を挙げています。Colossalは、古代DNAの情報が限られる種の研究を進める手段と位置づけています。

ドードーのゲノムは1つしか利用できない一方、Colossalがケナガマンモスのプロジェクトで得たゲノムは100に上るといいます。多くの個体のゲノムを比較する方法を使いにくいため、GenoMorphは現生鳥類の発生データや形態の違いを分析し、調べる候補に優先順位を付けます。

Colossalは、ニワトリ、ウズラ、アヒル、ハトの発生段階に関する数百のサンプルと、70種を超える鳥類のゲノムや頭蓋骨の計測データを組み合わせました。サンプルは胚発生の6段階と顔の3領域を対象とし、頭蓋骨は541の解剖学的目印を使って比較しました。分析では、くちばしの大きさに関連する候補が653、厚みや幅に関連する候補が1,698見つかりました。

遺伝子の働きを調節するDNAを手がかりに

調節DNAは、タンパク質を作る遺伝子とは異なり、遺伝子をいつ、どこで、どの程度働かせるかを制御する領域です。発生中の鳥では、こうした「スイッチ」の働きが頭蓋骨やくちばしの大きさ、形に関わります。GenoMorphは、発生に伴う調節領域の活動と鳥類間の形態差を比べ、ドードーの顔の特徴に関連する候補を推定します。

鳥類と哺乳類は顔を作る遺伝子の多くを共有しながら、遺伝子が働く時期や場所を変えることで異なる顔の形を生み出します。顔の形の進化には、遺伝子そのものの変化だけでなく、発生中に遺伝子の働きを制御する非コードDNAの変化が関わります。また、発生の指示を受けて軟骨や骨になる間葉系細胞が、顔の形の違いを生む過程に関与します。

Colossalは、約2,300の候補が形態を実際に変えるかどうか、これから機能検証を進める段階だとしています。候補の特定だけで編集の効果や安全性が確定するわけではなく、同社CEOのベン・ラム氏は、実験で変化を確かめたうえで編集対象を検討すると述べました。GenoMorph自体に遺伝子を編集する機能はなく、調査対象を絞り込むための社内プラットフォームです。

候補を実験で確かめる仕組み

Colossalは、発生中の鳥の胚へ脂質ナノ粒子で遺伝子編集ツールを届ける方法も開発しました。ラム氏によると、胚に編集を加えて発生への影響を調べることで、鳥が性成熟して繁殖するまで待たずに、遺伝的変化と身体的特徴の関係を検証できます。候補の抽出と胚での機能検証を結び付け、予測した候補を編集へ進めることが次の段階です。

Colossalはドードーのゲノム配列の組み立てにも、ダイアウルフ計画で開発した手法を応用しました。古代DNAの断片を近縁種のゲノムに一度だけ照合すると、違いが大きい断片が対応づけられず、配列に空白が残ることがあります。反復的な手法では、見つかったドードーDNAを基準配列に取り込んで再照合し、新たに対応する断片が増えなくなるまで処理を繰り返します。

Colossalによると、この手法を使ったドードーのゲノム配列では、塩基の95%が少なくとも5回の読み取りでカバーされ、平均カバー率は65倍です。また、ニコバルバトのゲノム配列の改善も進めており、同種の参照配列を整える計画です。ニコバルバトはドードーに最も近い現生種とされ、Colossalはその細胞や遺伝子をドードーの特徴を持つ鳥の研究に使う方針です。

ニコバルバトの細胞と他種の研究事例

Colossalはニコバルバトの飼育群が36羽に増え、卵や精子になる始原生殖細胞を作製したと発表しました。始原生殖細胞は、次世代へ受け継がれる遺伝子編集を調べるうえで必要になる細胞です。同社はさらに、鳥の胚性幹細胞を使ってキメラのニワトリを作る技術も開発したとしています。

遺伝子編集で絶滅種の特徴を持つ動物を作る試みは、絶滅種そのものを遺伝的に複製することとは異なります。クリスマス島ラットの研究では、近縁のノルウェーラットと比較して絶滅種のゲノムのおよそ95%を復元できましたが、残る約5%には嗅覚や免疫に関わる領域が含まれていました。この事例では、復元できない情報が無作為ではなく、近縁種を編集するだけでは絶滅種の特徴の一部が欠ける可能性が示されました。