Aerobics class
写真: Bill Branson (Photographer) / Public domain / Wikimedia Commons

筋肉を保つにはたんぱく質が必要ですが、食事に加える量を増やせば筋肉が増えるわけではありません。追加の効果は、筋力トレーニングの有無や、普段の食事から摂る量によって変わります。

筋力トレーニングとたんぱく質は組み合わせて考える

筋肉では、たんぱく質が分解される一方、新しい筋肉の材料となるアミノ酸も使われています。重りや自分の体重に抵抗して筋肉を動かす筋力トレーニングは、筋肉の修復や形成に関わる過程を刺激します。

49件の試験、計1,863人を対象としたレビューでは、少なくとも6週間の筋力トレーニングを行った人に、たんぱく質の補給による筋肉の大きさと筋力の追加的な改善が見られました。

食事ですでに必要量を摂れている人は、補助食品を加えても得られる効果が小さい場合があります。「高たんぱく」という食品や飲料の表示に加え、普段の食事と運動も追加効果に関わります。

摂取量を増やしても効果には限りがある

英国の成人向け基準摂取量は、体重1キログラムあたり1日0.75グラムです。体重70キログラムなら約53グラムに相当します。これは健康な成人の多くの必要量を満たすための基準で、筋肉を最大限に増やす目標値ではありません。

前述のレビューでは、食事とサプリメントを合わせた摂取量が体重1キログラムあたり約1.6グラムに達すると、それ以上増やしても除脂肪量、つまり脂肪を除いた体重のさらなる増加は見られませんでした。体重70キログラムの場合は1日約112グラムですが、これは複数の試験を通じた推定値で、全員に当てはまる境界ではありません。

サプリメントは食事だけで必要量を満たしにくい場合に便利ですが、すでに活動量に見合った量を摂れている人には、追加の利点が小さいことがあります。摂取量を見直す際は、製品だけでなく普段の食事も含めて考える必要があります。

高齢者の基準は目的と表示方法が異なる

加齢に伴い、食事の刺激に対する筋肉の反応が弱くなることがあり、これを「アナボリックレジスタンス」と呼びます。国際的な専門家グループは、健康な65歳以上の人に、運動とあわせて体重1キログラムあたり1日1.0〜1.2グラムを推奨しています。

日本の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」は、65〜74歳と75歳以上の推奨量を、男性は1日60グラム、女性は50グラムとしています。たんぱく質から摂るエネルギーの割合の目標量は、両年齢区分とも15〜20%です。

日本の基準は年齢と性別ごとの1日量およびエネルギー比で示され、国際専門家グループは体重に応じた量で示しています。体重70キログラムに当てはめた国際基準は1日70〜84グラムですが、日本の推奨量とは表し方が異なるため、数字をそのまま並べて比較することはできません。

植物性食品でも食事と運動の組み立てが鍵

豆類や大豆食品、乳製品、卵など、たんぱく質を含む食品には複数の選択肢があります。38人の若年男性が参加した12週間の試験では、同程度のたんぱく質を摂りながら筋力トレーニングを行ったヴィーガンと雑食のグループで、筋肉量と筋力の改善は同程度でした。

植物性たんぱく質は動物性に比べて消化されにくく、必須アミノ酸、とくにロイシンの含有量が少ないことが、筋肉づくりへの反応に影響するとレビューは指摘しています。植物性たんぱく質を増やすことや、複数の植物性たんぱく質を組み合わせること、アミノ酸組成を補うことが、反応を高める方法として検討されています。ただし、高齢者については、こうした方法をさらに検討する必要があるとされています。

筋力維持には食事だけでなく、筋肉を使う機会も関わります。英国のNHSは、能力に合った筋力強化活動を週2日以上行うことを勧めています。