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出典: arXiv.org

過食行動に関連する遺伝領域が6カ所、神経性やせ症(拒食症)に関連する領域が8カ所特定されました。両者は精神疾患との遺伝的な結び付きの一部が重なる一方、BMIや体脂肪率との関連は反対方向でした。遺伝的な相関は、過食行動や拒食症が別の疾患や体重を引き起こすことを示すものではありません。

過食行動と拒食症を大規模に解析

研究チームは、複数の研究の遺伝データを統合するゲノム関連解析を実施しました。過食行動の解析対象は症例39,279人と対照1,227,436人、拒食症は症例24,223人と対照1,243,971人で、いずれも欧州系の集団でした。

過食行動は、通常より多く食べ、食べる量を制御できない感覚を伴う状態として幅広く定義されました。自己申告や単一の質問への回答、過食症または過食性障害の診断が該当し、症例の96%が女性でした。

解析では過食行動に結び付く遺伝領域が6カ所見つかり、その一つは肥満との関連で知られるFTO遺伝子領域の近くにありました。拒食症では8カ所が特定され、そのうち6カ所は先行研究でも報告されていた領域です。

精神疾患との重なりと体重との違い

過食行動と拒食症の遺伝的相関は0.46でした。遺伝的相関は、複数の形質に関わる遺伝的影響がどの程度重なるかを示す指標です。

両者はうつ病、不安症、統合失調症と正の遺伝的相関を示しました。一方、拒食症は強迫症とも関連しました。過食行動は拒食症より強くADHDと関連したほか、喫煙、問題飲酒、リスクを取る傾向とも結び付いていました。

体格との関連は反対方向で、過食行動に関連する遺伝的影響は高いBMIや体脂肪率と、拒食症に関連する影響は低いBMIや体脂肪率と結び付いていました。BMIと共有する遺伝的シグナルは、過食行動で約12%、拒食症で約10%でした。

遺伝的相関から原因は決められない

遺伝的相関がある場合、同じ遺伝的変異が複数の形質に作用している可能性があります。こうした多面発現があれば、片方の形質がもう片方を引き起こさなくても、遺伝的な関連は生じます。

遺伝的相関だけでは、影響の向きや因果関係を特定できません。別の研究では、ゲノム関連解析の統計量を使い、相関が因果関係によるものか、多面発現によるものかを区別する方法が提案されています。

この方法は、遺伝的影響の分布に関する仮定を置き、形質間で遺伝的影響に偏りがあるかを検討します。したがって、今回の相関値は共通する遺伝的な特徴を表すもので、過食行動が精神疾患やBMIを引き起こすという結論にはなりません。

FTOの知見と東アジアでの予測

FTO領域については、別の小規模な横断研究で、肥満リスク型の遺伝子型を持つ20人と比較対象の94人が調べられました。リスク型の参加者は食後の満腹感が弱く、ビュッフェ形式の食事で比較対象より平均348キロカロリー多く摂取しました。

同研究では、食べ物の画像を見たときの脳活動にもグループ間の違いが報告され、食事でのエネルギー摂取量との関連も見られました。これはFTOと食行動を結ぶ可能性のある仕組みを示す別の研究結果であり、今回特定された遺伝領域だけで過食行動の原因が解明されたわけではありません。

欧州系集団のデータから作成した拒食症のポリジェニックリスクスコア(多数の遺伝的変異をまとめた指標)は、日本と韓国の2つの研究でも拒食症の可能性との関連を示しました。対象となった症例は合わせて約150人で、スコアが説明したリスクのばらつきは約1.3%でした。

欧州系データでの説明率も、拒食症で約2.3%、過食行動で約0.3%でした。研究者は、より大規模で多様な集団を含む研究を今後の課題に挙げ、個人の発症予測や治療への利用には至っていないと述べています。