
ウクライナ軍の通信制限は続く
ウクライナ当局は10月14日以降、軍向け衛星通信サービス「Starshield」の端末に速度制限がかかり、高速で移動するドローンの通信が途切れると訴えています。時速約161キロを超えるドローンが接続を失い、一部の任務に影響したとされています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は金曜日、制限は続き、通信速度も回復していないと表明しました。制限の影響で状況は難しくなった一方、前線は持ちこたえていると述べています。
安全保障専門家のドミトリ・アルペロビッチ氏は、ドローンを失っており、ロシア側の兵站を攻撃する能力が限られていると話しました。トランプ大統領はサービスが復旧したと述べる一方、ゼレンスキー氏やウクライナ側の担当者は制限が残っているとしています。
Starshieldが担う政府向け通信
Starshieldは、政府機関向けにSpaceXが提供する衛星サービスです。消費者や企業向けのブロードバンド通信を主とするStarlinkに対し、Starshieldは地球観測や通信、政府機関向け機器を衛星に搭載するサービスを想定しています。
両サービスはStarlinkの技術や打ち上げ能力を基盤としており、Starshieldには機密情報を扱うための追加の暗号化が施されています。SpaceXは、他の衛星がStarshield網に加わるためのStarlinkレーザー端末も提供しています。
この共通基盤のもと、ウクライナではStarlinkと軍向けのStarshieldが前線の通信やドローン運用に使われています。ゼレンスキー氏は、通信制限に加えて、米国からの迎撃ミサイルの引き渡しも待っていると述べました。
欧州の代替網はすぐには整わない
EUの外交政策責任者カヤ・カラス氏は、短期的に欧州がStarlinkの機能を代替することはできないと述べました。欧州委員会は、政府向け通信のために衛星資源を共有するEUの「GOVSATCOM」へのウクライナ参加を協議しています。
EUは早ければ2027年に商用衛星サービスを加える可能性があり、300基を超える衛星で構成する「IRIS²」は2029年の本格運用を見込んでいます。どちらの計画も整備に時間がかかります。
欧州の衛星事業者ユーテルサットは低軌道衛星網「OneWeb」も運用していますが、通信容量や性能に制約があり、前線で使う端末の大きさ、重さ、価格も課題とされています。Starlinkの端末は専用技術を使うため、切り替えには数千台の端末を交換する必要があります。
ウクライナは複数の通信手段を模索
ウクライナ当局は、衛星通信の選択肢を増やす動きも進めています。ゼレンスキー氏はノルウェー側と防空システムを協議し、兵士向けの新たな衛星通信能力に関する作業開始を伝えました。
ウクライナ国防省は木曜日、ノキアとフィンランドの宇宙情報企業ICEYEとの間で、宇宙分野の協力と、主権的な衛星通信能力の構築を探る意向書に署名しました。ゼレンスキー氏は、信頼できる通信は国家安全保障に関わり、自ら管理できる能力が必要だと述べています。
米議会の超党派議員は国防長官に書簡を送り、Starshieldの契約拡大とウクライナへの継続的な衛星通信支援を求めました。一方、制限を誰が決定したのかについては、SpaceX、米政府、トランプ氏をめぐる説明が食い違っています。










