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コンゴ民主共和国(DRC)北東部のイツリ州で、エボラ出血熱の流行に対応するワクチン臨床試験が始まりました。ザイール型向けに承認されたワクチンが、今回の流行を引き起こすブンディブギョ型にも効果を示すかを調べます。

ブニアで始まった臨床試験

試験は「トゥマイニ」と呼ばれ、イツリ州の州都ブニアで参加者への接種が始まりました。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が開始を公表し、WHOはDRC主導の取り組みを支援しています。

最初に使われるのは、ザイール型エボラウイルス向けに承認された「エルベボ」です。ブンディブギョ型の流行で同ワクチンを接種し、異なる型に対する交差防御があるかを含めて評価します。試験では安全性、有効性、免疫原性を調べます。

試験は複数のワクチンを評価できる共通の枠組みで、感染者と接触した人のうち、感染リスクが高いと判断された人に接種するリングワクチン方式を採用します。ブンディブギョ型に特化した候補ワクチンも加わる予定で、オックスフォード大学が開発するアデノウイルスベクター型と、米モデルナのmRNA型が「間もなく」試験に入る見込みです。

接触者を追跡して感染の連鎖を抑える

エボラウイルス病は、患者や感染動物の血液などの体液に直接触れることで感染します。発症した人は症状が出始めると他者に感染させる可能性があるため、症状のある人を速やかに特定して隔離することが封じ込めに重要です。

接触者追跡では、感染者と接触した人を見つけ、感染の連鎖を断ちます。リングワクチン方式では、そうした接触者のうち高リスクと判断された人を接種対象にします。DRCの過去のエボラ流行でも、接触者へのリング接種が対応に使われました。

WHOは、接触者追跡に加えて、患者の診断、隔離、治療、感染予防策などを流行対策の柱に挙げています。ワクチンの試験と並行して、こうした対策が続けられます。

異なるウイルス種への効果は未確立

エボラ出血熱を引き起こすウイルスには複数の種があり、ザイール型とブンディブギョ型は別のウイルスです。エルベボはザイール型による疾患を予防するワクチンとして承認されていますが、ブンディブギョ型向けに承認されたワクチンはありません。

WHOの2026年5月の指針は、エルベボがブンディブギョ型にもたらす交差防御について、ヒトでの有効性データがなく、動物実験の結果も限られ、結論が出ていないとしました。9月に更新された指針でも、臨床的に意味のある予防効果があるかは判断できず、使用は研究計画の範囲に限るよう勧告しています。

両ウイルスでは、ワクチンが主に標的とする糖タンパク質が異なります。WHOの指針によると、ブンディブギョ型とザイール型の糖タンパク質のアミノ酸配列の相同性は約60~65%です。試験では、既存ワクチンの交差防御を検証するとともに、ブンディブギョ型向け候補ワクチンも評価する計画です。

流行規模と試験の対象

DRCは2026年5月に同国で17回目となるエボラ流行を宣言しました。10月24日時点で、症例は9,700件を超え、死亡者は4,600人を上回っています。WHOは国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言し、流行はアフリカ東部、中部、西部の4カ国で報告されています。

試験には妊婦と12歳以上の子どもも含まれます。臨床試験から除外されることの多い人々についても、ワクチンの知見を得ることを目指します。

今回の流行では、ブンディブギョ型に特化した候補ワクチンの開発も進んでいます。オックスフォード大学とモデルナの候補は、それぞれ別の技術を用いており、今後この試験に加わる見込みです。