
嵐の雪が運ぶ粒子
カリフォルニア州のシエラネバダ山脈で、雪に含まれて地上へ降るマイクロプラスチックの量が、個別の嵐ごとに調べられました。人の活動から離れた採取地点でも、嵐の最中には1平方メートルあたり1日270〜3,200個が雪に沈着していました。シエラネバダの積雪はカリフォルニア州の淡水供給のおよそ30%を支え、遠隔地の雪に含まれる粒子は山の外の水資源にも関わります。
マイクロプラスチックは、プラスチック製品から剥がれた繊維や、摩耗して細かくなった破片などです。衣類から繊維が放出されるほか、地面の粒子が風で巻き上げられ、空気中を移動することがあります。雪片が落下中に空気中の粒子を取り込んで地面へ運ぶ過程は「スカベンジング」と呼ばれ、調査では乾燥時より降雪時に多くのプラスチックが沈着しました。
積雪を採取した7地点のうち、人里離れた場所には車でも徒歩でも到達できず、研究者がチェアリフトやスキーで向かった地点もありました。それらの場所でも粒子が見つかり、アクセスの難しい山岳地帯まで大気中のプラスチックが運ばれていることが観測されました。
採取地点と粒子の特徴
嵐の最中に雪へ沈着した量は、マンモス・マウンテンのスキー場では1平方メートルあたり1日2,600〜7,500個でした。遠隔地の採取地点と比べると、およそ3倍にあたります。周辺の人間活動や、より多くの降雪が差の要因である可能性が挙げられています。
粒子数が多い地点でも、プラスチックの質量は小さく、最大の推定沈着率であっても1エーカーに降る雪が運ぶ量は1日約1.5グラムでした。粒子の化学的な確認には赤外線を使い、得られた特徴を参照データと照合して、土や植物由来の物質と区別しました。
最も多く見つかったのは、衣類や包装などに使われるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル/PETでした。研究チームは、消費者向け製品に使われる植物由来の化学加工素材であるセルロース誘導体も検出しました。嵐の空気の流れをたどる解析では、採取対象となった嵐の空気の多くがフレズノ郡とマデラ郡の上空を通過していましたが、粒子の具体的な発生源までは特定されていません。
先行研究との測定方法の違い
米国地質調査所(USGS)の先行研究は、コロラド州のアッパー・コロラド川流域にある標高の高い14地点で、2013〜2016年の融雪期に採取された38試料を調べました。試料は、複数の黄砂層などが雪面に残った層をまとめたもので、顕微鏡で粒子の大きさ、形、色を見て、マイクロプラスチックの相対量を推定しています。
別の先行研究は、フランス・ピレネー山脈の集水域で5か月間にわたり、雨や雪による湿性沈着と乾性沈着を採取しました。そこで報告された日ごとの粒子数は、1平方メートルあたり破片249個、フィルム73個、繊維44個で、気塊の軌跡解析から最大95キロメートルの大気輸送が示されました。こうした調査は雪や地表に一定期間たまった粒子を扱うのに対し、シエラネバダの調査は個々の嵐を測定単位にして、降雪時の沈着量を示しています。
高高度での大気輸送を調べた研究では、フランス・ピレネー山脈の標高2,877メートルにある観測所で、夏の4か月間に空気1立方メートルあたり0.09〜0.66個のマイクロプラスチックが測定されました。粒子の履歴をモデルで解析した結果には、大陸間や海洋を越える輸送の可能性も示されています。
融雪水と飲料水をめぐる論点
世界保健機関(WHO)の報告書は、水道水やボトル水、その水源を含む水循環でのマイクロプラスチックの存在、健康影響に関する証拠、上下水処理での除去を検討対象にしています。同報告書は、監視や環境管理に関する勧告と、人への健康リスクを評価するうえでの知識の不足をまとめています。
サンフランシスコ市公共事業委員会(SFPUC)は、シエラネバダの融雪水や雨水を貯水池に蓄えて水源の一部にしています。同委員会は、保護された水源や貯水池が環境中のマイクロプラスチックにさらされにくく、ほかの水源より汚染リスクが低いと説明しています。一方、同委員会は州の水資源管理委員会による4年間の監視計画に参加し、採取手順の確定などを経て2026年に監視を始める見込みとしていました。








