8万7,577人を追跡した光曝露の研究
英国の大規模コホート研究で、日中に明るい光を浴びる時間が長い人ほど、認知症の発症リスクが低い傾向が確認されました。明るい昼光が認知症を防ぐと証明した結果ではありませんが、日中の光曝露が将来のリスクを捉える指標となる可能性を示しています。
研究では、認知症のない87,577人が手首に装着した光センサー付き加速度計を使い、日中と夜間の光を7日間測定しました。参加者の平均年齢は62.36歳で、56.98%が女性でした。
追跡期間の中央値は8.1年で、その間に741人が認知症を発症しました。発症状況は、かかりつけ医の記録、入院記録、死亡登録のデータから把握されました。
1,000ルクス超と42分未満の結果
日中の光曝露が平均1,000ルクスを超えた人では、認知症リスクが低い傾向が見られました。研究上の推定値は、1,000ルクス以下の人と比べたハザード比0.84で、95%信頼区間は0.71〜0.99でした。
さらに、5,000ルクス以上の明るい光を浴びる時間が1日0.70時間以上の人では、より低いリスクとの関連が見られました。0.70時間は42分に当たりますが、これは研究で比較に用いられた区分であり、発症を防ぐ目標時間として確かめられたものではありません。
反対に、5,000ルクス以上の光を浴びる時間が1日42分未満の区分は、肥満、飲酒、外傷性脳損傷などを含む6つの既知の認知症予測因子より強い予測因子でした。この比較は研究内での予測力に関する結果です。
体内時計や脳構造との関連
光は概日リズム、つまり約24時間周期で変化する体内のリズムを整える手がかりです。研究では、日中の光曝露と認知症リスクの関連について、休息と活動のリズムや脳構造などが媒介する可能性も分析しました。
探索的な分析では、概日リズムと脳構造が、日中の光曝露と認知症リスクの関連の最大33%を媒介するという結果でした。これは統計的な媒介分析による推定で、光が脳構造やリズムを変化させ、その結果として認知症を防ぐ因果関係を確定したものではありません。
関連は、夜間の光曝露が多い人、夕方型の人、APOE ε4保有者でより強く、リスク低下は最大41%と報告されました。APOE ε4は遺伝子型の一つですが、これらのグループ別の結果も観察データに基づく関連です。
夜間の光では有意な関連なし
夜間の光曝露と認知症リスクの間には、統計的に有意な関連が見られませんでした。
研究は、日常生活の中で光を測定した前向きコホート研究です。研究者らは、昼間の光を認知症リスクの指標として活用できるか、また光を用いた介入につながるかを今後の研究課題に挙げています。











