ディズニーの停滞を教訓にした助言
ティム・クック氏は、AppleのCEOを引き継ぐ前、共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏から「私ならどうするかと尋ねず、正しいことをしなさい」と助言されました。
ジョブズ氏は、ウォルト・ディズニー氏の死後、Disneyの経営陣が「ウォルトならどうするか」と話し合い続けた経験を引き合いに出しました。創業者の判断を再現しようとするあまり、目の前の決定が滞る状態をAppleに持ち込みたくなかったと、クック氏は説明しています。
CEO交代の際、ジョブズ氏はクック氏を自宅に呼び、後任を託しました。クック氏は、ジョブズ氏の後継者として同じ振る舞いを求められたのではなく、自分らしく仕事をする余地を与えられたと振り返っています。
クック氏が引き継いだ経営の軸
クック氏は1998年にAppleに加わり、2005年に最高執行責任者(COO)に就任しました。ジョブズ氏が2011年に亡くなるまで同氏のもとで働き、その後CEOを務めました。
ジョブズ氏が重視したのは、共同作業によってアイデアを育てること、重要なことに集中するため多くの選択肢を退けること、そして高い水準を求めることでした。クック氏は、意見を交わしてアイデアを磨く文化を、Appleに残る原則として語っています。
2026年9月、クック氏はCEOを退き、ジョン・ターナス氏が後任に就きました。クック氏も後任には、他人の考えを模倣するより、自分らしく振る舞いながら会社の価値観を保つよう助言しています。
製品とサービスの構成に表れる変化
ジョブズ氏のCEO在任中にあたる2011年の第4四半期、Appleの製品別売上高にはMac、iPod、iPhone、iPadが並んでいました。iPhone関連製品・サービスの売上高は133億1,100万ドル(約2兆1,000億円)、iPad関連は60億4,600万ドル(約9,600億円)でした。
同四半期のMacのデスクトップとノート型を合わせた売上高は51億500万ドル(約8,100億円)、iPodは13億2,500万ドル(約2,100億円)でした。iTunes StoreやApp Storeなどの売上高は「音楽関連製品・サービス」に分類され、iPhoneやiPadに関連するサービスも各製品の項目に含まれていました。
2025年度には、Appleのサービス事業の売上高が1,092億ドル(約17兆円)となり、製品の粗利益率36.8%に対して、サービスは75.4%でした。Appleは同年度の売上高が4,160億ドル(約66兆円)に達したと発表し、2025年9月期のサービス売上高は四半期として過去最高を記録しました。
拡大した事業とCEO交代
Appleの年次売上高は、2011年度の1,082億ドル(約17兆円)から2025年度の4,162億ドル(約66兆円)へ増加しました。2025年度の従業員数は約16万6,000人で、2026年1月には稼働中のデバイスが25億台を超えました。
NDTVの論説は、クック氏の時代にAppleがiPhoneを起点に、時計、イヤホン、決済、音楽、テレビ、クラウドストレージなどを含む事業へ広がったと評価しています。同論説は、こうした変化を、創業者の個性に依存する経営から、組織として継続できる仕組みへの移行として捉えています。











