Decaf latte - Trading Post Coffee Roasters 2025-03-09
写真: Andy Li / CC0 / Wikimedia Commons

健康な成人を対象にした研究で、デカフェを3週間飲んだグループでは、複数の記憶テスト項目で成績が改善しました。カフェイン入りのコーヒーを飲んだグループでは同じ記憶改善は見られず、別の注意課題で成績が上がりました。結果は、コーヒーの認知面への影響がカフェインの有無で異なる可能性を示しています。

62人を対象にコーヒーの中断と再開を調査

研究には、ふだんコーヒーを飲む人31人と飲まない人31人の計62人が参加しました。コーヒーを飲む31人は14日間コーヒーをやめた後、15人がデカフェ、16人がカフェイン入りのコーヒーを21日間飲みました。

研究チームは各段階で、記憶などの認知課題に加え、気分やストレス、身体の状態を調べました。便に含まれる腸内細菌や代謝物も分析し、コーヒーの再開が腸と心身の指標にどう関わるかを比較しました。

研究は2026年4月21日に『Nature Communications』で発表されました。主な目的は腸内細菌の構成と働きを調べることで、認知機能や気分の変化も測定対象に含まれていました。

デカフェでは記憶課題、カフェイン入りでは注意課題に変化

研究開始時と終了時の記憶テストでは、デカフェ群で複数項目の成績が統計的に有意に改善しました。覚えた情報を結びつける別の課題でも、デカフェ群では誤答が減りましたが、カフェイン入り群では同様の改善が確認されませんでした。

一方、カフェイン入り群では、持続的な注意や情報処理を測るPASATの成績が上がりました。また、不安の強さを示す点数や収縮期血圧にも変化がありました。記憶課題と注意課題は異なる測定で、両グループの成績を単一の尺度で直接比べた結果ではありません。

ストレス、落ち込み、衝動性の点数は両グループで改善しました。デカフェ群では睡眠の質と身体活動量の点数も良くなっており、研究チームはそれらが記憶の変化に関係した可能性を挙げています。

カフェイン以外の成分と腸内細菌をめぐる手がかり

コーヒーにはカフェインのほか、フェノール酸などのポリフェノールや、焙煎で生じるメラノイジンが含まれます。研究チームによると、先行研究ではこうした成分が腸内細菌に作用する可能性が検討されてきました。コーヒーに含まれる繊維に似た成分やフェノール類が、腸内細菌の変化に関わる仕組みとして挙げられています。

たとえばメラノイジンは、短鎖脂肪酸を作る細菌を増やし、血中の短鎖脂肪酸を高める可能性が示されています。コーヒーのポリフェノールは腸内細菌の影響を受けて代謝され、その利用されやすさには個人差があるとされています。

腸内細菌と脳の間には、双方向に信号をやりとりする「腸・脳相関」があります。コーヒー由来の成分や代謝物がこの経路にどう関わるかは、研究対象の一つです。先行研究では、ポリフェノールが脳内の抗酸化応答に関わり、神経炎症を抑える可能性も論じられています。

腸内細菌にも変化、結果の解釈には限界

ふだんコーヒーを飲む人は、飲まない人と比べ、便中のクリプトバクテリウム属やエガセラ属の細菌が多い傾向を示しました。コーヒーを2週間やめた後に再開すると、カフェインの有無にかかわらず腸内細菌に変化が現れました。この結果は、腸内細菌の変化がカフェインだけでは説明できない可能性と整合します。

研究開始時の比較では、コーヒーを飲む人は衝動性や感情反応性が高い傾向も見られました。ただし、コーヒーを中断した後の点数や再開後の変化は段階ごとに測定されており、同じ指標でも比較する時点によって意味が異なります。再開後には両グループで衝動性の点数が改善しており、研究開始時のグループ差とは分けて読む必要があります。

デカフェ群とカフェイン入り群はそれぞれ15人と16人で、人数は限られています。同じテストを繰り返すことで成績が上がる可能性も、研究チームは認めています。