Working LED 020
写真: Dmitry G / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons

米ニュージャージー州ニューアークで、犯罪が多い地域を中心に街灯をLEDへ交換したところ、設置後の最初の2四半期に夜間・屋外の暴力犯罪が約46%減りました。一方、効果はその後薄れ、最長2年の分析では暴力犯罪や財産犯罪に有意な減少は確認されませんでした。街灯の改善は短期的な対策になり得ますが、単独で効果が続くとは限りません。

ニューアークで確認された短期的な変化

Rutgers大学ニューアーク校の研究チームは、2019~2021年に進められた街灯交換事業を準実験的な方法で評価しました。高圧ナトリウム灯を発光ダイオード(LED)照明に置き換えた地域と、交換されていない地域などを比べ、交換前後の夜間犯罪の変化を分析しています。

研究では、交換後の最初の2四半期に夜間・屋外の暴力犯罪が約46%減りました。減少を主に押し下げたのは、加重暴行と強盗だったと報告されています。

同じ取り組みでは暴力犯罪が約46%、侵入窃盗が58%減り、改善地域から周辺へ犯罪が移る現象も見られなかったと、Phys.orgは報じています。研究チームも、交換された街灯から200~750フィートの範囲を周辺地域として分析し、近隣への影響を調べる設計を採用しました。

効果は時間とともに薄れた

Rutgersの分析では、暴力犯罪への短期的な効果は2四半期を過ぎると消え、長期分析では交換後2年まで暴力犯罪、財産犯罪のいずれにも有意な減少が見られませんでした。研究チームは、犯罪を行う側が新しい照明環境に適応した可能性を挙げていますが、照明設備の状態変化など別の要因も結果に関わり得るとしています。

ニューアークの取り組みでは、地域住民や公共安全担当者、電力会社PSE&G、Rutgersの研究者らが犯罪の多い場所を特定し、照明を新設・交換しました。研究を率いたアレハンドロ・ヒメネス=サンタナ氏は、照明の効果は恒久的ではなく、照明だけでは解決にならないと述べています。

研究チームは、街灯を地域の安全対策の一要素として位置づけています。ヒメネス=サンタナ氏は、住民や地域団体が関わる清掃、暴力の仲介、地域との連携なども組み合わせる必要性を説明しました。

CPTEDが想定する照明の役割

環境設計による犯罪予防(CPTED)は、建物や街路などの環境を整え、犯罪が起きる機会に働きかける考え方です。街灯は、夜間の見通しを高め、周囲の人が異変に気づきやすくする「自然な監視」の条件を整えるものとされています。

街灯の改善によって通行人の活動が増えれば、周囲に目を向ける人が増え、犯罪を行う側には発見される可能性が高まる、という仕組みが想定されています。ニューアークの研究では、設置直後の夜間犯罪の減少がこの考え方と関係する可能性を検討しましたが、短期の結果だけで仕組みを確定したわけではありません。

照明配置を扱う別の研究では、閉鎖的だが出入口を制限していない住宅地を格子状に区切り、道路の区分に応じた照明需要と、照明のシミュレーション結果を組み合わせています。研究では、照度の差を小さくすることを目的関数とする最適化モデルを作り、遺伝的アルゴリズムで配置案を計算しました。対象はニューアークの実測評価とは異なる住宅地の配置方法です。

過去の研究レビューとの違い

街路照明の効果をまとめたレビューでは、基準を満たした21研究のうち17研究を統合した分析で、照明の改善地域は比較地域より犯罪が14%減少しました。財産犯罪は12%の有意な減少があった一方、暴力犯罪については有意な減少が示されませんでした。

夜間と昼間の犯罪を測った研究では18%の減少が見られた一方、夜間犯罪だけを調べた研究の減少は3%で、統計的に有意ではなかったと、レビューは報告しています。対象となった21研究は米国、英国、ブラジル、韓国の4カ国で、1974~2021年の研究を含みます。

レビューの著者らは、照明が地域への投資を示し、住民の地域への誇りや非公式な見守りを促す可能性も、犯罪減少を説明する考え方として挙げています。レビューとニューアークの研究では対象地域や介入、評価期間が異なるため、結果を同じ効果として単純に比べることはできません。