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出典: College of Science and Engineering

ミネソタ大学などの研究チームは、ブタの腎臓を−150℃で最長1年間保存し、再加温して別のブタへ移植した後、機能が回復することを確認しました。従来の臓器保存は数時間から数日単位です。今回発表された研究は査読前で、対象はブタの腎臓です。

1年間の保存後に移植し、尿の生成を確認

研究では、以前にナノウォーミングを行った腎臓の100倍の大きさに当たるブタ腎臓を、−150℃で最長1年間保存しました。解凍後、腎臓の血管に血液が行き渡り、移植直後から尿が生成されました。

研究チームは、腎臓を通常の体温に近い状態で灌流する試験でも、血管・代謝・排泄の機能を調べました。複数の指標で、機能回復の程度は静置冷却保存した腎臓に近く、凍結保護剤だけにさらした腎臓とも同程度でした。

今回の成果に先立ち、ミネソタ大学のチームは2023年にラット腎臓を凍結保存して移植し、生命維持に必要な機能を回復させました。2025年には別の研究チームがブタ腎臓を10日間保存して移植し、尿の生成を確認しています。今回の研究では保存期間が最長1年に延び、ブタ腎臓の長期保存後の移植が行われました。

ガラス化とナノウォーミングで凍結・再加温

保存には「ガラス化」という方法を使います。凍結保護剤(CPA)を臓器に行き渡らせてから急速に冷やし、氷の結晶を作らずにガラス状の状態にします。

再加温には、腎臓の血管内に入れた酸化鉄ナノ粒子を利用する「ナノウォーミング」を用います。高周波の磁場で粒子を発熱させ、臓器の内側から温める仕組みです。表面から温める方法では、加温の遅さや温度のむらによって、氷の再結晶化やひび割れが起きることが課題とされています。

凍結保護剤は、冷却中に氷ができて細胞が傷つくのを抑えます。一方、高濃度での使用や長時間の曝露は毒性につながる可能性があります。2023年のラット研究では、以前に使った凍結保護剤による腎臓への損傷が問題となり、毒性を抑えた配合と注入条件を検討しました。ブタ腎臓の研究では新たな配合と複数温度での灌流を取り入れ、冷却時の氷結を避けながら、再加温時の熱ストレスを抑えました。

人間の臓器サイズでは冷却と薬剤浸透が課題

人間の臓器に応用するには、凍結保護剤を大きな臓器の内部まで行き渡らせ、毒性を抑えながら臓器全体を均一に冷却する必要があります。研究チームは、臓器の大型化に伴い、冷却、凍結保護剤の安定性と輸送、生物学的毒性が課題になると述べています。

2025年の別の実験では、凍結保護剤0.5〜3リットルの容器を使いました。M22は3リットルまでガラス化できましたが、VS55はどの容量でも成功しませんでした。酸化鉄ナノ粒子を含むM22は最大2リットルで均一に再加温され、ブタの肝臓もガラス化されましたが、肝臓の再加温は実証されていません。

この規模の試験では、臓器サイズに近い量で冷却と再加温を行いました。ブタ腎臓の研究では長期保存後に臓器を移植して機能回復を調べており、容器内の凍結・再加温を確かめた実験とは対象が異なります。研究チームが掲げる次の目標は、人間の臓器で同様の手法を実現することです。

従来の保存法との違い

移植用の腎臓は、従来、氷上での保存や機械灌流で扱われます。ブタを使った過去の比較試験では、腎臓を24時間保存した場合、温阻血時間が0分の群では機械灌流後の腎機能回復が静置冷却保存より良好でした。

一方、温阻血時間が30分の群では、同じ試験で機械灌流による腎機能の改善は確認されませんでした。この比較試験の保存期間は24時間で、今回のガラス化研究が扱う数カ月から1年の保存とは異なります。