モーター1基と3Dプリント部品を使った小型ドローンが、寝室で飛行しました。モーターの回転数調整とヒンジ付きローターを組み合わせ、機体の姿勢や向きを制御します。試作と飛行試験を重ねましたが、現段階では固定式の赤外線ビーコンを使うため、飛行場所は寝室に限られています。

回転数とヒンジで姿勢を制御

一般的な回転翼機には、ローターの回転で機体に生じる反トルクを抑え、進行方向を変える機構があります。この機体はモーターの回転数を増減させ、機体にかかる反作用のトルクを調整します。回転数を上げると反作用のトルクが増し、下げると逆向きのトルクが働きます。

ローターの各ブレードは45度のヒンジに取り付けられています。モーターの回転数が変わるとブレードが傾き、一方は上向きになって揚力を増やし、もう一方は下向きになって揚力を減らします。この揚力の差で、機体のロール(左右の傾き)とピッチ(前後の傾き)を制御します。

ヨー(機首の向き)は、ローターが機体に与えるトルクに加え、モーターの調整と3Dプリント製の安定板で制御します。操縦に必要な応答を得るため、Joshua Birdは独自のフライトコントローラーとモーターコントローラーのファームウェアを開発し、モーターの応答を0.2ミリ秒未満にしました。

ヘリコプターとは異なる反トルクの処理

ヘリコプターは水平に回転するローターで揚力を得ます。前進しなくてもその場でホバリングでき、垂直に離着陸できます。

単一の主ローターを持つヘリコプターでは、エンジンがローターを回すと機体に反対向きのトルクが生じます。テールローター、フェネストロン、NOTARは、この影響を抑えて機首の向きを保つ反トルク制御の方式です。

同軸反転ローターは、上下のローターを反対方向に回して反作用のトルクを打ち消します。NASA Ames Research Centerの解析によると、この方式では反トルク用のテールローターが不要で、エンジン出力を垂直方向の推力に使えます。一方、Birdの機体はローターを1基にとどめ、モーターの回転数を調整して反トルクを制御します。

3Dプリント部品を試作し飛行試験

初期のプロペラは柔らかすぎたため、マイクロコントローラーで制御するフラッシュとソニー製カメラを組み合わせた高速度カメラで、回転時の状態を撮影しました。その結果を踏まえ、より硬いフィラメントでプロペラを3Dプリントし直しました。

Birdは寝室のベッドから何度も試験飛行させ、制御プログラムを調整しました。試験中には機体が墜落して壁が損傷することもありましたが、最終的に3Dプリント製ドローンの飛行に成功しました。

この機体は、モーター1基の劣駆動機です。機体やプロペラの設計データは、Fusion 360形式とSTEP形式で公開されています。テストスタンドの項目もあり、フライトコントローラーにはArduPilotのフォーク、モーターコントローラーにはmoteusのフォークが使われています。

固定式ビーコンが飛行場所を制限

飛行時の位置決めには固定式の赤外線ビーコンを使うため、現在の飛行試験は寝室内に限られています。Birdは将来、機体にリニアカメラを追加し、別の環境でも離陸できるようにしたいとしています。