Varmilo's Flaming EC switch look like traditional switches.
出典: cdn.arstechnica.net

キーボードのスイッチには、金属接点を使わず、光や磁気などで入力を検知する方式が増えています。作動点の調整やキーの押し込み量の検知ができる一方、互換性や価格、入力精度は方式によって異なります。

An exploded view of a Cherry MX Brown switch.
出典: cdn.arstechnica.net

接点式と非接点式で入力の仕組みが異なる

一般的な機械式スイッチは、キーを押すと軸が下がり、内部の金属板が接触して回路を閉じます。指を離すとばねが軸を戻します。接点は物理的に接触するため、長期使用による劣化や酸化の影響を受けることがあります。

A see-through view of a Cherry MX Red mechanical keyboard switch at rest.
出典: cdn.arstechnica.net

非接点式は、金属板同士の接触以外の変化をセンサーで検知します。メーカーは長寿命や酸化・腐食への強さを利点として挙げています。一方、接点式にも長寿命の製品があり、CHERRYはMX2Aの寿命をスイッチの種類に応じて1億回以上としています。

A see-through view of a depressed Cherry MX Red mechanical keyboard switch.
出典: cdn.arstechnica.net

スイッチの感触は検知方式だけでは決まりません。ばねや軸の摩擦、潤滑、素材も押し心地に関わるため、非接点式かどうかだけでは滑らかさを判断できません。

Three mechanical switch leaves showing oxidation
出典: cdn.arstechnica.net

光・静電容量・磁気・誘導で検知する

光学式は、キーの動きで赤外線の光路が遮られたり変化したりする様子をセンサーで読み取ります。Razerは自社の光学式スイッチについて、クリック式の作動点を1.5mm、リニア式を1.2mmと案内し、デバウンス遅延がないと説明しています。

A diagram of a Razer optical switch in its resting position.
出典: cdn.arstechnica.net

静電容量式は、キーの導電部品と基板上のセンサーとの距離に応じた静電容量の変化を検知します。Topre方式ではラバードームが押下時の抵抗を生みます。静電容量を使う製品でも、スイッチの構造は一様ではありません。

磁気式にはホール効果式とTMR式があります。どちらもキー内部の磁石の位置を基板上のセンサーで捉えます。TMR式は磁性層間の電子の通りやすさが変わる現象を利用します。

誘導式は、キーに取り付けた金属部品が基板のコイルに近づくときのインダクタンスの変化を読み取ります。磁石を使わず、個別のスイッチごとにセンサーを置かない構成もあります。

作動点の調整とRapid Trigger

作動点は、キーが押し込まれて入力として認識される位置です。対応キーボードではソフトウェアから位置を調整できます。機種によっては、押し込み量に応じたアナログ出力や、1回の押下で深さごとに別の入力を割り当てる機能も使えます。

通常の設定では、キーが固定された作動点を越えると入力され、リセット点を越えて戻ると入力が解除されます。SteelSeriesはRapid Triggerについて、キーを戻し始めた時点でリセットし、再び押すと位置にかかわらず入力する方式と説明しています。

Wootingも、Rapid Triggerは固定位置ではなく、キーの移動に応じて入力と解除を切り替える機能だと説明しています。同社によると、感度は0.1mmまで調整でき、FPSやリズムゲーム、格闘ゲームでの素早い入力に使えます。

精度と互換性も選択の条件

ソフトウェアに表示される作動点が、実際の入力位置と一致するとは限りません。RTINGSの測定では、たとえばWooting 80HEは0.1mm設定に対し、実測値が平均0.40mmでした。

同じ測定では、Keychron K2 HEは0.2mm設定に対する平均実測値が0.51mmで、Razer Huntsman V3 Proは0.1mm設定に対して0.17mmでした。設定刻みが細かくても、実際にその差を安定して検知できるとは限らないとRTINGSは説明しています。

磁気式のスイッチを交換する際は、スイッチのピン数や磁石の極性、磁束範囲が基板やセンサーに合うか確認が必要です。TMR式はホール効果式より消費電力が少ない場合があります。価格や製品の選択肢も比較対象になります。

ゲーム用途の入力遅延には、スイッチの検知方式に加えてポーリングレートや接続方式も関わります。そのため、検知方式だけではキーボード全体の応答は決まりません。