台湾は、AIサーバーと先端半導体を輸出管理の対象に加え、中国向けの不正輸出を外国貿易法違反として処罰する方針です。違反には最長5年の懲役、または約92,500ドル(約1,500万円)の罰金が科される可能性があります。 これまで犯罪として扱われなかったAIチップの対中輸出に、直接適用できる刑事罰が設けられることになります。
台湾がAIサーバーと先端半導体を管理対象に追加
経済部長の龔明鑫氏は、管理品目にAIサーバーと先端半導体を加える方針を示しました。 新たな規制は、今年締結した米台の貿易協定で台湾が約束した措置の一環として、米国の管理方針に一部を合わせるものです。
協定では、米国が台湾製品への関税を15%に引き下げる一方、台湾側が米国のテクノロジー産業へ直接投資することなどが盛り込まれました。 龔氏は、管理対象品目に関する台湾の措置を今後、米国のものと対応させると述べています。
新制度の施行時期は明らかにされていません。 施行後は、規制対象のAI関連機器を中国へ送る行為が外国貿易法上の犯罪となり、最長5年の懲役または約92,500ドル(約1,500万円)の罰金の対象になります。
これまでの輸出管理は指定企業が中心
台湾は従来、Huaweiと中国の半導体受託製造大手SMICを「戦略的ハイテク商品エンティティリスト」に加え、台湾企業が両社へ輸出する際に許可を求めていました。 2025年のリスト見直しでは601の組織が追加され、掲載対象は計10,844の組織・個人となりました。
この仕組みは、リストに載った特定の企業などを対象とするものです。 今回検討されている管理では、中国の顧客全般へのAIチップ販売を制限する案が示されており、対象の範囲が広がる可能性があります。
従来、台湾では許可を得ないAIチップの中国向け輸出そのものは犯罪とされていませんでした。 当局は、輸出が米国の規則に違反する可能性を販売側に警告できても、国内では文書偽造など既存の法律を使って対処する必要がありました。 外国貿易法に新たな輸出管理を加えることで、違法な輸出を直接、刑事事件として扱えるようになります。
米国の規制は品目分類と仕向け地で許可を要求
米国商務省産業安全保障局(BIS)は、先端コンピューティング用集積回路と、それを含む製品を輸出管理規則の対象としています。 対象には輸出管理分類番号3A090.a、4A090.aの品目や、カテゴリー3・4・5に属する関連の「.z」品目が含まれ、サーバーの例として5A992.zが挙げられています。
米国の許可要件は、性能値だけでなく品目の分類と輸出先にも関係します。 BISの指針では、中国を含む国別グループD:1、D:4、D:5向けに該当品目を輸出、再輸出、または国内移転する場合、規則に基づく許可が必要となるケースが示されています。
また、輸出者が先端チップの利用先について軍事情報活動や大量破壊兵器に関わる用途・利用者だと認識している場合、用途に基づく包括的な許可要件が適用されることがあります。 台湾が新制度で米国の措置の一部に合わせるとする一方、今回の台湾側の発表は、具体的な性能基準や品目分類を明らかにしていません。
半導体の迂回輸出をめぐる捜査も続く
米国では、AIサーバーなどの対中密輸をめぐり、Super Microの共同創業者を含む従業員3人が起訴されています。対象とされたサーバーの価値は25億ドル(約4,000億円)とされています。
その後、台湾当局はNVIDIAのB300をめぐる密輸捜査に関連して、Super Microの台北事務所を捜索しました。 この捜査では、最終的に関係者9人が起訴されています。
台湾が中国向けの先端半導体輸出を犯罪とするのは、新たな管理措置の施行後が初めてとなる見込みです。 米国が先に導入した規制では、台湾の従来制度で直接処罰できない輸出が生じており、今回の変更は台湾国内の法執行手段を加えるものです。









