
外務省は、サウジアラビアのリヤド州やマッカ州などの危険情報をレベル3に引き上げ、渡航中止を勧告しました。イエメンのホーシー派による攻撃が続き、10月4日の軍事行動表明後に攻撃が強まっていることを受けた措置です。
リヤド州などで渡航中止を勧告
レベル3に引き上げられたのは、リヤド州、東部州のうちイエメン国境地帯を除く地域、マッカ州、マディーナ州です。これらの地域では、空港やエネルギー関連施設を狙ったドローン・ミサイル攻撃が続いており、空港などの民間施設にも攻撃が及ぶおそれがあるとされています。
ナジュラーン州、アシール州、ジャーザーン州のイエメン国境地帯以外とバーハ州も、レベル3に引き上げられました。一方、同じ4州のイエメン国境地帯と東部州の国境地帯では、従来からのレベル3が継続しています。
北部国境州、ジャウフ州、タブーク州、ハーイール州、カシーム州はレベル2のままです。北部国境州のイラク国境地帯では、情勢の不安定さや国境管理上の懸念を踏まえ、不要不急の渡航を控え、夜間の外出を避けるなどの対策が求められています。
10月以降に攻撃が強まる
隣国イエメンでは、サウジアラビア主導の連合軍が2015年3月以降、ホーシー派の支配地域を空爆してきました。ホーシー派はこれに対し、サウジアラビアの石油施設や空港、船舶などへミサイルやドローンで越境攻撃を行い、サウジ国内で民間人を含む死傷者が出ています。
2022年4月の停戦成立後、本格的な戦闘は停止していましたが、2026年7月以降、サウジアラビアへの攻撃が続いています。10月4日にはイエメン正統政府のアリーミー大統領評議会議長がホーシー派への軍事行動開始を表明し、サウジアラビア主導の連合軍もイエメン国軍への作戦支援を続けると発表しました。
ホーシー派はイエメンを拠点とする政治・武装運動です。CSISの分析では、運動の政治目標はホーシー派主導のイエメン政府が国際的に認められることとされています。ACLEDの分析によると、2015年から2022年4月までにホーシー派はサウジアラビアなどに約1,000件のロケット・ミサイル攻撃と350件超のドローン攻撃を行いました。同分析では、2015年に年間攻撃の15%だった誘導ロケット・ミサイルの割合が、2022年には89%に増えたとされています。
CSISは、2021年の最初の9カ月にサウジアラビアを含む標的への月間攻撃数が、前年同期の2倍になったと分析しました。同年11月には爆発物を搭載した無人機が複数のサウジアラビアの都市に向けて発射され、ジッダの石油精製施設も標的となりました。2021年9月には東部州へのミサイル攻撃で子ども2人が負傷し、複数の住宅が損傷しました。
国境付近には立入禁止区域
サウジアラビア当局は、東部州のハフル・アル・バーティンとカフジ地区、北部国境州全域、ジャウフ州のイーサーウィーヤとヒダイサ地区、タブーク州のハトラ・アンマールとハキル地区について、国境から10キロ以内を立入禁止区域に指定しています。現地には砂の障壁や立入禁止標識が設置され、違反すると目的を問わず処罰される可能性があります。
外務省は、治安情勢を踏まえて渡航者に安全対策の目安となる危険情報を示しています。レベル2では、渡航するかどうかを真剣に検討し、渡航する場合は十分な安全措置を講じるよう求めています。レベル3では、目的を問わず渡航を延期するよう勧告し、現地滞在者には状況に応じて退避の検討や準備を促す場合があります。
今回レベル3となった地域について、外務省は企業・団体の取組など真にやむを得ない事情がある場合の滞在を妨げないとしています。その場合も、危険な施設や地域を避け、現地の日本大使館または総領事館と連絡を取り、安全対策を講じるよう求めています。
滞在者に求められる安全対策
外務省は、宗教施設、ホテル、ショッピングモールなど人が集まる場所では周囲を警戒し、非常口を確認するよう案内しています。移動経路や時間を固定せず、金曜日にはモスクへ不用意に近づかないことも呼びかけています。
不審物には近づいたり触れたりせず、治安部隊や警察関係者が集まっている地域も避けるよう求めています。車で外出する際は駐車場所に注意し、車体の下部を含めて異常がないか目視で確かめることも挙げています。
サウジアラビアに3カ月以上滞在する人には在留届の提出、3カ月未満の旅行や出張では「たびレジ」への登録が案内されています。渡航者は家族や職場などに日程と現地の連絡先を伝え、滞在中も外務省や現地公館などから最新の安全情報を得るよう求められています。






