
村田製作所は、6G向けのD-band(110~170GHz)に対応したアンテナモジュールを開発しました。通信評価では135GHz帯での動作と最大8GHz幅の信号伝送、送受信双方の2次元ビーム制御を確認しています。
135GHz帯で通信とビーム制御を実証
モジュールは、アンテナと無線信号の送受信・制御に必要な高周波回路を一体化した装置です。今回の評価では、135GHz帯で無線通信が動作し、最大8GHzの帯域幅で信号を伝送しました。
ビーム制御は、電波を上下・左右の方向へ向ける技術です。村田製作所は送信側と受信側の双方で2次元制御を確認し、LTCCを活用したD-band対応モジュールでこの制御を両立した成果を世界初としています。
D-bandは110~170GHzの高周波帯です。村田製作所は6G向けのほか、高速・大容量通信が求められる用途への応用も見込んでいます。
LTCC基板に回路を集積
LTCCは、複数のセラミックシートに配線などを形成し、積層して焼成する基板技術です。基板内部に配線を組み込めるため、回路を小型かつ高密度にまとめられます。
LTCCでは銀や銅など電気抵抗の低い導体を使え、材料の組み合わせで誘電特性を調整できます。高精細・高密度配線の回路基板も製造されています。
今回のモジュールでは、村田製作所がLTCC基板の材料を用途に合わせて最適化し、低誘電率・低誘電正接の特性を実現しました。誘電正接は材料内部での信号エネルギーの損失に関わります。村田製作所は、この材料設計によって100GHz超でも損失を抑えた信号伝送を可能にしたとしています。
imecのICと高密度実装を組み合わせる
開発は、ベルギー・ルーヴェンに本部を置く研究開発機関imecとの共同研究で進められました。imecが開発したD-band対応のビームフォーミングICをLTCC基板に組み込んでいます。
アンテナやRF配線なども微細かつ高密度に一体設計・実装しました。村田製作所は、基板材料の最適化、高周波設計、パッケージ技術を組み合わせ、高い通信性能と小型化・実装性の両立を図っています。
周波数が高いほど電波の波長は短くなり、アンテナや高周波回路をより微細に設計・実装する必要があります。高周波通信では配線長のわずかな差や実装のばらつきも性能に影響するため、基板内の配線や部品をまとめて設計することが開発上の要点となりました。
量産を見据え2030年以降の投入を目指す
村田製作所は、今回の成果を6Gの高速・大容量通信に必要な技術の実現可能性を示すものと位置づけています。通信のほか、サブテラヘルツ帯を使うレーダー・センシングや、通信とセンシングを同じ無線システムで行うISACへの応用も見込んでいます。
ISACは「Integrated Sensing and Communication」の略で、通信と、周囲の状況や物体の位置・動きを検知するセンシングを統合する技術です。
今後は量産実績のあるLTCC製造プロセスを基盤に、実用化と量産を見据えた技術開発を進めます。村田製作所は市場投入の時期を2030年以降としています。











