BYD badge, close-up
出典: Carscoops

沖縄の米軍嘉手納基地は、月曜日からBYD製車両の入構を認めない方針です。対象にはタクシーや配送車、請負業者の車両も含まれます。車載カメラやセンサーが基地内外の情報を記録し、外部へ送る懸念が背景にあると報じられています。

View of Kadena Air Base from Roadside Station Kadena
写真: そらみみ / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

基地のアリ・ストーマー中佐は、これらの車両が人員と任務にとって「受け入れられず、軽減できないリスク」をもたらすと述べました。この措置はBYD車を使う一般の交通・業務車両にも及びます。

BYDは米国防総省が中国軍を支援するとみなす企業のリストにも掲載されています。6月に更新された文書には、自動車メーカーのNioや、アリババ、百度も記載されました。

車載センサーが記録する周囲の情報

現代の車は、位置情報に加えて車内外の音声や映像、周辺環境を捉えるセンサーを搭載しています。カメラ、レーダー、ライダー、超音波センサーは、自動ブレーキや運転支援などに使われます。

車外向けのカメラやライダーは、車の周囲を詳しく捉え、道路環境のデータを集めます。米シンクタンクのAEIは、こうしたデータに広くアクセスできれば、重要インフラの地図作成や軍事施設への交通の追跡に利用される可能性があると指摘しています。

AEIの分析では、データを車内で処理して速やかに削除すれば情報収集のリスクは低くなり、保存や送信が続けばリスクは高まります。嘉手納基地をめぐる懸念も、カメラやセンサーが記録した情報の処理場所や扱いに関わります。

車内の情報や通信データも収集対象に

インターネット接続機能を持つ車には、車載SIMや接続したスマートフォンを通じて通信するものがあります。車のセンサーは位置情報のほか、インフォテインメントの利用状況、シートベルトの着用、速度やブレーキの操作、眠気などに関するデータを収集し得ます。

スマートフォンとBluetoothで接続すると、連絡先や地図、カレンダーの情報も車が扱うデータに含まれます。車両が収集する情報は運転者だけでなく、同乗者のプライバシーにも関わります。

車両が1日に生成する未加工データは、1台あたり1〜2テラバイトに達する場合があるとされています。軍事施設の近くを通る車両が収集し得る情報を考える際は、車種に加えて通信機能やセンサーの構成も関係します。

各国で進む車両データをめぐる対応

車両の情報収集をめぐる懸念は、米軍基地だけに限られません。中国では2021年、テスラ車が一部の政府施設への進入を一時禁止されましたが、中国製テスラが同国のデータ安全要件を満たした後、2024年に禁止措置は撤回されました。

豪州の情報機関ASIOも、政治家や公務員に対し、接続機能の有無を問わず、車内で機密情報を話さないよう警告したと報じられています。専門家のデニス・デズモンド氏は、接続車には追加のデータ収集リスクがあると説明しています。

BYDは欧州などで販売を伸ばす一方、日本での市場シェアは0.1%にとどまっています。同社は日本でのシェア拡大に向け、軽自動車規格の電気自動車「Racco」を投入しました。嘉手納基地の入構制限は、BYD車の販売状況とは別に、安全保障上の判断として実施されます。