a red planet with a black background
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火星のアラビア・テラでは、クレーター内に明るい色の地層が露出し、厚さや明るさの似た縞が広がっています。NASAの火星探査機が撮影した地形は、堆積物が固まった岩層が火星の古い気候を記録している可能性を示しています。ただし、縞をつくった具体的な過程は確定しておらず、地下水が関わる周期的な砂塵嵐などが候補に挙がっています。

クレーターに残る明暗の地層

アラビア・テラは火星の広い地域にまたがり、クレーターや峡谷があり、長期にわたる浸食が進んでいます。クレーターの内部には明るい色調の地層が見え、NASAのHiRISE(高解像度画像科学実験)カメラが撮影しました。HiRISEは火星を周回する探査機に搭載され、軌道上から地表の細かな地形を観測します。

NASAは、地層の厚さや明るさが似ていることから、同じような物質でできている可能性を指摘しています。地層の表面には浸食による凹凸や穴、ぎざぎざした縁があり、暗色の風成砂紋や岩屑が一部を覆っています。こうした形状や重なりは、堆積物がどのように蓄積し、その後変化したかを調べる手がかりになります。

周期的な形成をめぐる仮説

地層が規則的に重なる様子は、何らかの周期的な現象で形成された可能性を示します。候補の一つは、地下水が関わる周期的な砂塵嵐です。NASAは、アラビア・テラの広い範囲に似た地層があることも踏まえ、火星規模の周期的な現象が関係した可能性を紹介しています。Nautilusも、砂塵嵐と地下水が地層形成に関与した可能性を挙げています。

一方、火星の若い堆積岩を広域で調べた研究は、地層の厚さが地域ごとに異なり、火山灰や気候に伴う全球規模の単純な堆積モデルでは説明できないと報告しました。研究チームは、地層の厚さが約35億年前に先に減少し、その後、堆積岩の形成量が長い時間をかけて低下したと分析しています。この結果は、アラビア・テラの縞を一つの過程だけで説明するのが難しいことを示しています。広域の堆積岩に見られる傾向と、個別地域の地層をつくった条件は異なる尺度の現象です。

同研究は、初期の大気圧低下が薄い地層につながり、その後、液体の水が徐々に利用できなくなったことで、火星全体の堆積岩の形成量が減ったという進化シナリオを提案しています。

軌道観測が捉える範囲

HiRISEの画像からは、地層の広がりや厚さ、浸食の形などを軌道上から調べられます。画像の色は撮影データの色帯を見やすく加工したもので、火星上空から見た実際の色合いは画像より赤褐色に近いとNautilusは説明しています。暗い岩や砂には鉄やマグネシウムを多く含む火山岩の玄武岩があり、明るい部分には塩や粘土を含む細粒の物質があります。

軌道からの画像だけでは、岩石の組成や形成過程をすべて特定できません。アラビア・テラに将来ローバーが到達すれば、地表の岩石を調べ、材料や形成過程について軌道観測より詳しい情報を得られる可能性があります。地層の規則性や広がりは過去の環境変化を読む手がかりですが、成因の解明には地形の観測と現地での岩石分析が必要です。