
米国土安全保障省(DHS)は、職員情報を掲載するサイトの削除をアイスランドのホスティング会社FlokiNETに求めました。FlokiNETは拒否しました。サイトのドメインは登録事業者によって停止され、情報は別のドメインへ移りました。
DHSはZeroFoxを通じて削除を要請
要請の対象は、DHS職員4万人超の情報流出に関連するデータベースです。移民・関税執行局(ICE)や税関・国境警備局(CBP)など、DHS傘下機関の職員情報が含まれ、サイト「icepi.cx」では情報をまとめて閲覧できる状態でした。
DHSの代理として連絡したのは、サイバーセキュリティ企業ZeroFoxです。ZeroFoxは通知書で、情報は「盗まれた」データであり、4万人を超える特定可能な人々を嫌がらせ、つきまとい、身体的危害の危険にさらすとして、削除または無効化を求めました。
FlokiNETは、ZeroFoxとは取引関係がなく、同社から政府機関の代理として送られた通知を受け取ったと説明しました。FlokiNETによると、DHSは2026年7月にZeroFoxと1,500万ドル(約24億円)の契約を結び、ICEと国土安全保障調査局(HSI)に関する情報の削除要請を2028年まで委託しています。
職務上の情報か、個人情報か
FlokiNETは、掲載情報を政府職員の「職務上の身元」と位置付けています。所属先や役割、職務上の連絡先を示すもので、私生活の住所などを公開することとは異なるという説明です。
FlokiNETは、法執行プログラムを実施する連邦職員について、職務中は私人として扱うべきではなく、誰がどの権限の下で活動しているのかを知ることには公共的な意義があると主張しました。データの取得元が情報漏えいであり、掲載対象の職員が公開を選んだわけではないことも認めたうえで、報道や市民による監視に使える情報を残す判断をしたとしています。
一方、ZeroFoxは通知書で、情報が公開された4万人超の個人が危害を受けるリスクを理由に削除を求めました。
拒否後にドメインが停止
FlokiNETは要請に応じませんでしたが、「icepi.cx」は登録事業者によって停止され、一時アクセスできなくなりました。FlokiNETによると、同社が受け取った通知とは別に、ドメイン登録事業者CentralNicが同じ朝にドメインを停止状態にしました。
その後、データベースは別のドメイン「icepicx.is」に移り、再びオンラインになりました。ただし、データは最初の公開後に複数のグループによって別の場所にも転載されており、インターネット上から完全に取り除くのは難しいとAl Jazeeraは伝えています。
FlokiNETは、ホスティング事業者が通知を受けた際、申し立ての内容を検討する責任を負うと述べています。同社は、ZeroFoxがAIを使った検知で候補を見つける仕組みを問題視し、個々のサイトが報道目的なのか嫌がらせなのかを判断するには、人が情報を確認する必要があると主張しました。
代理業者を通じた削除要請への懸念
FlokiNETは、通知の差出人と削除を求める政府機関が異なる場合、誰が判断を下したのかを把握しにくいと指摘しました。同社は今回の要請について、ICE内部の誰がサイトの削除を決めたのか、また判断の前にどの情報が示されたのか分からないと述べています。
FlokiNETは、第三者の代理で削除を求める組織に対し、依頼主と法的根拠、誤った申し立てへの責任者を明らかにするよう提案しました。自動検知を使った通知であれば、その事実も通知に記載すべきだとしています。ドメイン登録事業者の判断にも、同じように検証の機会を設けるべきだというのがFlokiNETの立場です。
FlokiNETは、嫌がらせなど実害のある情報への対処や個人の保護は正当な目的だと認めています。そのうえで、政府機関が請負業者を通じて削除を求め、登録事業者の停止措置で情報が見えなくなる仕組みには、申し立ての責任や判断の過程を確かめにくくする懸念があると主張しました。








